Koutaro

太陽とボレロのKoutaroのレビュー・感想・評価

太陽とボレロ(2022年製作の映画)
1.7
水谷豊監督作品は初鑑賞。
なんというべきか……今の日本の映像業界の悪いところを全部煮詰めたような作品。
音楽が題材の映画としては王道的なストーリーで、着想としてはそれほど悪くはない。やりたかったことはわかる。
わかりはするが……いかんせん、邪魔なものがあまりにも多すぎる。

全てに共通して言えるのは、キャスト・製作陣含めサスペンスドラマに毒されすぎている。
監督:水谷豊という点で予想されうる部分ではあるのだが、正直最初のファランドールの演奏シーンの時点で、あまりのカット割りのくどさに、殺人事件が起きるかのような気がして仕方がなかった。
あえてそういう見せ方で物語とのギャップを作っているのかとも思ったが、当然にそんな必然性はなく、鑑賞するこちら側がそういうものかと慣れていくしかないという一種の苦行。
ストーリーもシーンも不必要なものだらけで非常に冗長。時たま良い画がぽっと現れるのだが、すぐにノイズに紛れてどこかへ行ってしまう。
この題材でこの内容ならもっとしっかり編集して75〜90分程度のコンパクトな作品にできただろうに……

唯一的確だったのは西本智実率いるイルミナートフィルとのボレロの共演で作品を終わらせた点か。
その後に余分なシーンがほぼ挿し込まれなかったおかげでそれまでの内容が全て吹き飛んで心地よい余韻を覚えたままエンドロールを迎えることができる。
ある意味、ここまで鑑賞を続けたことへの報酬とも言える。もっとも、これが目当てであれば最初のファランドールで十分ではあるのだが。
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