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フェイクのNMのレビュー・感想・評価

フェイク(1997年製作の映画)
3.5
設定を知らずに観始めたら、
どっちが追っ手なのか、
ちょっとの間分からなかった。

レフティに近づく潜入捜査官ドニーは
命懸けで渡り合い徐々に信用を得ていく。

ドニーが、
何でもできるスーパーマンではないところが、
物語を面白くしている。

はじめは完璧な振る舞いに見えたが、
家には殆ど帰れず、夫婦関係どんどん悪化、
上からの指示や変更、時には邪魔されうんざり、疲労困憊。

一方、自分を信頼してくれるマフィアたち。
しかしこのままでは、嘘を隠すため、
殺人や幇助に手を汚すのは避けられない。
一体どうすれば良いのか。

とくに後半はレフティとドニーの関係が
近づいたり離れたり、
微妙な探り合いが続き、
嫌〜な予感が立ち込める。
マフィア同士の抗争も激化し、
何とも言えぬ緊張感がどんどん高まる。

レフティは作品中、急激に老いていくように
みえた。
いつもいい加減な大言を吐いて
威勢の良かった彼が、
終わりのない争いで疲弊してゆく。

二人とも自分をすり減らしている。
二人とも組織の歯車に過ぎない。
後半、二人きりの対話は息もつかせない。
最後の瞬間、彼はどうすべきだったのか。

ドニーが、命懸けで得たものは
一体何だったのか。
潜入捜査官たちの功績は素晴らしいが、
どうするのが正解なのか、余韻が残る。

常に、法や倫理など様々な問題を鑑みて
天秤に掛けながら行動しなくてはならない。
少しでもミスをし、何かが起きたら、
国が守ってくれるとは思えない。

嘘や演技が上手いこと以上に、
自分の良心を常に問われる仕事だ。
頭脳と、タフな精神力が要求される。
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