せんな

犬王のせんなのレビュー・感想・評価

犬王(2021年製作の映画)
4.0
やばい。やばいすごい。
思わず語彙力皆無な感想が出てきてしまうくらいには、言葉にならない圧倒的熱量を感じる映画だった。

時代設定は室町・南北朝時代。壇ノ浦に沈んだ三種の神器や、滅んだ平家の謎も物語に絡んできます。アニメ『平家物語』と鎌倉殿の13人で平家一族の末路を見た者としては、このあたりの描写でいろんな場面がこみあげて、胸が苦しくなります 同じ時代の物語を、同時期に様々な角度で見られるって幸せなことだな

とにかく音楽に圧倒されます!
犬王が能楽の舞台で歌い出した瞬間、息が止まるくらいの衝撃を受けました。迫力があるというか華があるというか…一声聴いた瞬間一気に心つかまれて、しばらく呆然と聴いてました これは本当に人間の声…?歌声以外のセリフも、独特のハスキーボイスがとても合っていて心地よかったです アヴちゃん凄すぎる
友魚の語りも犬王とはまた違って聞き惚れる歌声でした!

犬王と友魚の奏でる曲たちは、能楽という名のロックフェス!琵琶をギターみたいにかき鳴らし、観客には手拍子とコールアンドレスポンスを要求し、まさしくフェスみたいな様相。その盛り上がりにこちらも体を動かさずにはいられない!できることなら劇場で声出したかったし手拍子もしたかった!
室町時代にこんな音楽があったわけない!と思うけど、犬王が作った曲は後世に一切残っていない。歴史に葬られた音楽であるのだから、もしかすると実際に存在したのかも…?と思えてワクワクしました

音楽に乗った言葉を聞き取るのが苦手なので、能楽パートは音楽的に楽しんだけど、能のストーリーを追いきれなかったのがちょっと残念 何度も見て物語を噛みしめたいな

テンションブチ上がる音楽に負けないくらいアニメーションも綺麗で動きがかっこいい!特に犬王の舞。姿形が普通の人間とまるで違う異形の姿である序盤の舞は、長い腕を生かしたブレイクダンスのよう。ダイナミックでありながらかわいらしさも感じました。クライマックスの将軍の前での舞は、羽衣をまとって力強さも兼ね備えた優雅な舞。どんな場面でもずっと生き生きと舞う犬王に釘付けでした。

難しいことわからなくても、力強い音楽と舞にテンション上がること間違いなし!満足感でいっぱいです…!
せんな

せんな