さりさり

生きるのさりさりのレビュー・感想・評価

生きる(1952年製作の映画)
3.5
それまで判で押したように退屈に生きてきた男が、自分が不治の病と知った時から生まれ変わる。
死を目前とした人間の心の揺れと葛藤を、そしてその生きざまを描き出す、黒澤明の名作だ。

名作とわかってはいても、ちょっと入り込めなかった。
かなり古い映画で音響が悪いせいなのか、私の耳が悪いせいなのか、登場人物の台詞が全て聞きづらく、何を言ってるのかよくわからなかった。

にしても、志村喬のこの存在感。
鬼気迫る目力。
圧倒的である。
台詞なんてもういいや、って思わせる。

今回は2度目の鑑賞。
最初観たときは20代の若い頃。
死というものの実感がなく、その時はこの作品の深さを読み取れなかった。
でもあれからン十年、身近でたくさんの人たちの死と向き合い、重い病と闘う友人たちとも出会った。
死の恐怖を今は肌で感じる。
そして本当に生きることの意味も。

明日はどうなるかわからない人生。
時間を無駄にはしたくない。
これからは本当に観たい映画を観ていこう。
心に焼きつけるように、一本一本大切に。
さりさり

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