Koshii

EXITのKoshiiのレビュー・感想・評価

EXIT(2019年製作の映画)
3.9
めちゃ面白かった!!

B級感漂うジャケットとは裏腹に、作りがしっかりしていて見応えたっぷりな作品でした。

巻かれる毒ガス。パニックを起こす街。
手に汗握るアクションシーンとシリアスな展開に挿入される丁度良いくらいのコメディ要素。

展開も良い意味で分かりやすいので、気軽に見れる娯楽映画としておすすめです!

以下、ネタバレや感想を含みます。












めちゃくちゃ好きなタイプの映画だった!随所に挿入されるお笑いも、アメリカンジョークっぽくてどれも好きだし、なにより、主人公がニートというのが良い。

公園で筋トレをするヨンナムを不審者のように見る近所の子ら。その中には甥っ子も含まれているのだが、彼が自分の叔父であることを恥じる。

大学時代、山岳部に入っていたヨンナムは、就職活動をさぼりニートの道を歩む。そんな彼は家族の内からも煙たがられ、特に父親からは半ば勘当状態であった。

本作ではそんなヨンナムが、スーパーヒーローとなり、ビル街を飛び回る!


彼が見せる行動そのものは、常軌を逸しているが、単純なミスやヘマをすることはない。パニックアクション映画でありがちな、よく分からないミスで鑑賞者に汗を握らせるということは無い。正直、この演出は、製作者の好きな場面でシリアスな展開に切り替えることができるため、僕自身、冷めてしまうことが多く、あまり好きではない。

彼は、そもそも「ニート」である時点で、一度失敗している身であり、期待する部分が薄いということもあるが、彼の一生懸命な姿と強い正義感に、そんなつまらないミスはしてられないという強い姿勢を感じた。


そして、パニックアクションとして下地は真面目なのに、しっかり笑わせてくるところが素晴らしい。「上昇する毒ガス」という設定が、高層ビル群をパルクールのように飛び回るために用意されたものであるため、そんなシリアスな展開もどこか笑えてくる。


また、その分かりやすい展開も娯楽映画として完成されているように感じた。
毒ガスの脅威が徐々に高まっていく点や、脱出を試みる中、発生する問題に伴って、アクションの質も尻上がりになる点も非常に上手い。


そして、愛嬌のあるヨンナムの成長物語としての側面も強く、大学時代の後輩であるウィジュを側近に置いて対比させることで、ただのニートがスーパーヒーローになっていく様が見事に描かれている。

本作で特にそれは、クライミングの本質とダブらせて表現させている。冒頭の、ルートファインディングを説明するシーンでは、「目的地に着くには、道と行き方を知ることだ」とコーチに教わる。

完登するウィジュを意識するあまり、道を見落とすヨンナムは失敗に終わる。

これは、二人の大学以降の人生ともリンクしており、ニートとして人生の道を見誤るヨンナムと、ホテルで副店長にまで登り詰めるウィジュとして対比される。

そんな彼は、このパニックの中、皆んなを出口「EXIT」に導くべく、ルートを模索し、動線を想像する。それは同時に、彼のニートとしての人生から脱却することを意味していた。


ラストシーンでは、家族に認められ、ウィジュにも認めらる。カラビナの件は、ヨンナムがスーパーヒーローになったとしても、変わることのない人間性をよく表していて、最高の終わり方だった。

エンドクレジットで明かされる、トランポリンの解説も面白かった!


🎵サントラトラ Super Hero
Koshii

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