えいがうるふ

ベル・エポックでもう一度のえいがうるふのレビュー・感想・評価

ベル・エポックでもう一度(2019年製作の映画)
4.3
あまり惹かれない邦題だったが予想以上に面白かった。個人的には人間関係を含め過去を振り返り失われた良き時代に浸るより今を目一杯抱きしめて生きたいと思う方なので、ベースとなるストーリーに共感はしなかったものの、すったもんだの収め方が美しくて手の込んだ美味しい料理を頂いたような満足感。
あと、フランス映画はマチュアな女性の恋愛をちゃんと美しく描いてくれるところが本当に素晴らしいと思う。いい意味でいくつになっても女性を愛される存在として扱う文化がちゃんと根付いているのが分かる。

ただ、熟年夫婦と仕事がらみのやや若いカップルという二組の男女の行く末にからみ、かなりややこしい劇中劇がずっと続くのでしっかり設定を頭に入れてかからないと途中で迷子になりそうになる。それでなくともフランス映画らしく会話劇の内容がけっこうえげつなくて皮肉や比喩もじゃんじゃん出てくるのでそれを聞いてるだけでもけっこう疲れる。洒落の効いた丁寧な脚本だとは思うが頭を使いたくないときには避けたほうが無難かも。