えいがうるふ

ウエスト・サイド・ストーリーのえいがうるふのレビュー・感想・評価

3.0
オリジナルははるか昔にテレビで観た気がする。その後もっぱら映画よりサントラの方に親しんできた自分にとって、今それらの珠玉の歌とダンスをスクリーンに映し出される美しい映像と共に鑑賞出来たのは素直に素晴らしい体験だった。

ただ、泣く子も黙る巨匠による名作リメイクということでやはり知らず知らずハードルを上げてしまっていたらしい。
ミュージカルとして歌とダンスシーンの完成度、見せ方のクオリティはさすがだと思ったものの、肝心のストーリー展開は今見ると進行ありきの大味でつまらないし登場人物の誰にも感情移入できず、ラストのなんとも言えない尻すぼみ感も残念。結局エンドロールに至っても「あれ、こんなもんだったっけ?」という肩透かしな印象しか残らなかった。
そもそもこの無理のあるストーリーは生の舞台の臨場感と勢いをもってしてこそ力技で納得させられるものだったのでは、とすら思った。

なんとなく名誉校長みたいな偉い先生が個人的に思い入れがあるだけの旧作を授業で観せられている生徒の気分になったのだが、要するにそういう作品なのかもしれない。
もともとその教師のことが大好きでリスペクトしている生徒は素直に絶賛するだろうし、そうでもない子はそれなりに観て一応感想文に分かったようなこと書いてお茶を濁すみたいな・・。
お好きな方には申し訳ないが私はこの作品においては完全に後者だったようだ。