ユーライ

ブラック・レインのユーライのレビュー・感想・評価

ブラック・レイン(1989年製作の映画)
5.0
午前十時の映画祭。久しぶりに観たが、アレこんなにいい映画だったっけと驚いちゃった。お話は凡庸なプロピクの域を出ないがベタを貫徹する手際、役者陣の奮闘、意表を突かれるやり過ぎ残酷描写、そしてリドスコ特有のバキバキにキマったレイアウトで切り取られるクライムシティ・オオサカが魅力的に過ぎる。ジマーのメロウな異国情緒溢れる劇伴も泣かせるぜ。バブルを謳歌する猥雑な80年代ニッポンに陰影効かせてスモーク焚けばブレランになる寸法だ。撮影はヤン・デ・ボンなんだねぇ。早朝の街並みを明度落として青っぽく捉えるセンスは仙元誠三に通じる。当時から現在まで、本邦の風景をここまでカッチョいいノワールに仕立てた例を寡聞にして知らない。そして、松田優作。画面に映る一挙手一投足から目が離せない。真似したくなる。手を合わせてから拳銃を形どり、不敵な笑み。男の友情に女性は添え物、セントラル・アーツの作風と似た刑事アクションが遺作で良かった、とファンは思う。さしづめエンドロールで流れるのはARB。「AFTER '45 俺達は生まれ 狭い街角で出会った」。
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