永田に感情移入しても、沙希に感情移入してもキツイ。
2人は全然違うようでとても似ているような気もして、どちらの気持ちに共感しても観ている人は「うわ〜〜〜」となりそう、というか私はなった。
永田を見ていると自分の嫌なところを掘り起こされているような気になり、沙希見ていると自分の偽善(?)を明かりの下に引き摺り出されたような気になった。
沙希のモノローグなどはなかったので彼女の本当の気持ちや考え方まではわからないけれど、彼女のとても深い優しさや思いやりの根源には、永田の持つ感情や想いのようなものが横たわっていたのでは…とか考え込んでしまった。
人に対してやさしい人は、他人の苦しさを理解できる人、つまりは自分もその痛みを知っている人だと思うから。
最後の演出が良いと言っている方も多かったように、たしかに映画の演出としてはすごいなぁと思った。
一方で、永田は自分に蓄積されたものを演劇に消化せずにはいられず、演劇から彼は離れられず、沙希のような人と穏やかな日々を送ってそれを幸せだと感じることはできないのだなと突きつけられたような気がして、私は救いのなさみたいなものを感じたので苦しくなった。
松岡茉優さんは観ている人をヒリヒリさせる演技が上手くて、とてもよく刺さる。