やまぞう

劇場のやまぞうのレビュー・感想・評価

劇場(2020年製作の映画)
3.0
芥川賞作家でもある又吉直樹の同名小説の映画化。
主演が山﨑賢人で、ヒロインが松岡茉優で、
行定勲監督というコトで、公開前から注目していたのだが…

何と、未だ収束が見られない新型コロナウィルスの影響で公開延期となりまくり、
ついには劇場とAmazon Prime Video との同時公開に。
しかも、劇場はわずか全国21館。千葉県では柏のキネマ旬報シアターでしか上映してない。。。

とゆーコトで、キネ旬へGO!

売れない劇作家と彼を支える女性の7年間を描く、という内容だからして、
さぞかしショボショボな貧乏臭い雰囲気だろうと思ってたら、
どんなにボサボサ髪&ボロ服でもイケメンの山﨑賢人くんと、行定監督らしい儚さを孕む演出で、ショボい雰囲気は薄め。
しかしながら、イケメンを凌駕するクズっぷりを見せる山﨑くんの演技は必見。

小劇団の激戦区・下北沢で、成功を目指す劇作家兼演出家の永田は、自分を評価してくれない人々に苛立ち、
かといって、人一倍努力をするわけでもなく、彼女である沙紀の家に転がり込み、
ほぼヒモのような生活を送っている。

思うに永田とゆー奴は、才能は少しはあるのかもしれないが、天才ではないので、絶え間ない努力と運を引き寄せる人間関係を無くして成功の道を歩む事は難しいと思われるのだが、自分より多くの人に認められている人間を受容することが出来ず、批判的な意見には耳を貸さず、ひたすら自分の殻に閉じこもり悶々とすることが大きな敗因となっているのではなかろーか。

そんな彼の才能を信じ、愛して尽くす彼女との生活も、徐々に疲弊してゆくのは当然の事である。
特に珍しくもない男女の図式だ。
それにしても、よく7年も続いたよなぁ。

本来、目も当てられない悲惨な話となりがちだが、そこは又吉直樹がロマンチストなのか、行貞監督が叙情的なのか、ノスタルジックな余韻を遺す作品に仕上がっている。
やまぞう

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