磨

FUNAN フナンの磨のレビュー・感想・評価

FUNAN フナン(2018年製作の映画)
3.5
残酷な負の歴史を映し出したカンボジア産アニメーション作品。クメール・ルージュ支配下の人々の抵抗と家族愛を描いている。本作はドゥニ・ドゥ監督の母親の記憶が基になっていて、主人公のモデルにもなっているとの事。

テーマとなっているのは原始共産主義という思想を掲げたポル・ポトが反逆者や知識人などを虐殺した“カンボジア大虐殺”。これが中世以前の話ならいざ知らず、半世紀も経っていない事に言葉を失う。

作品はポル・ポト率いるクメール・ルージュが首都・プノンペンを制圧する直前から始まる。急に訪れる恐怖を知らず、幸せそうに暮らす人々の姿が逆に痛ましい。
人物の絵はともかく、背景、特に大自然の美しい描写が印象的。たがらこそ恐怖が浮き彫りになるが、直接的な残酷描写も少なめで、アニメで本当良かったと思う。


ごく一部だが、コロナ禍で“原始共産主義”を掲げるポル・ポトみたいな輩もいるらしい。
現時点ではただの戯言だが、影響力のある人間が発言するなどして、間違っても大きくならない事を願う。コロナを理由に様々な極論が跋扈している現状には不快感しかありません。
磨