あんがすざろっく

シャン・チー/テン・リングスの伝説のあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

4.8
シャン・チー。
marvel新時代の幕開け。

ブラック・ウィドウはmarvel新作を待たされていた空白を埋めるに足るエンターテイメントになっていました。
しかし、アベンジャーズはエンドゲームで一旦区切りをつけたのも事実。
オリジナルメンバーも残ってはいるものの、大きな象徴を失ったんです。その喪失感はあまりにも大き過ぎる。
この先、marvelはファンの気持ちを繋ぎ止めておけるのか、と要らぬ心配(GotGいるから僕は大丈夫だけど)。


そして今ここに、新しいヒーローの登場。
断言します、marvelはその謳い文句通り、新時代に踏み出しました。

思えばアイアンマンが初めてスクリーンに登場した時、こんなに広大な物語が待っているとは思ってもいなかった。
見たこともないスーパーヒーロー、その活躍は真っさらな状態から見始めたので、全てが新鮮でした。

シャン・チーは正に、その時の気持ちへとリセットしてくれるんです。
沢山の映画やアニメへのオマージュと共に。

グリーン・デスティニーの武侠。
スピードのアクション。
ハリー・ポッターの魔法世界。
そして、何よりも、ジャパニメーションの至宝、
ドラゴンボール。

そう、これは正にドラゴンボールの夢のような実写版。



marvelは基本エンタメですから、面白さが優先ですが、明らかにステップアップしたな、と思えた作品は、「ブラックパンサー」と本作「シャン・チー」です。
ハリウッドのビッグバジェットムービーの中で、カラードをメインにした作品と、アジア人をメインにした作品。
さりげなく現代社会の多様性を反映しながら、
それをしっかりエンタメに昇華しています。



シャン・チーは映像表現も半端ではありません。
舞台の一つとなる、ター・ローの村の美しい色遣い、その世界観。
本当に言葉が見つからないのが悔しいくらい、凄い。

僕はハリウッド映画が大好きだから、アクションもハリウッド志向の作品ばかり見ていて、中国や香港の映画は、ほとんど見ていません。
見ているとしたら一時期のウォン・カーウェイやジョニー・トーの作品。
要するに、香港映画の代名詞、ブルース・リーやジャッキー・チェンには、全く影響を受けていません。
彼らの代表作も見ていない訳ではないけど、カンフー映画は僕の血流にはなっていないんです。

そんな僕も、本作のカンフーアクションはすんなり受け入れられました。
まぁ、本格的なカンフーではなかったのだけど。
グリーン・デスティニーの武侠感が強かったからかな。
マカオでの高層ビルを舞台にしたスタントも素晴らしかったです。


トニー・レオンがとにかくカッコイイ。
インファナル・アフェア好きだったなぁ。
今回は悪役ではあるけど、むちゃくちゃ強いんだけど、その佇まいに悲壮感が漂います。
彼が求めた権力と、それを捨てて歩み出した新たな人生。
しかし、過去は彼を許しはしなかった。
作品の底辺に流れるのは、自分を苦しめる過去を許して、克服する話だったのだな。
それはシム・リウ演じるシャン・チーにも言えることで、彼も自分自身、そして父親の壁を乗り越えなければならなかったのでしょう。

シャン・チーの親友、ケイティにはオークワフィナ。
一番のコミックリリーフで、作品に笑いを誘います。
二人のバディ関係も良かったなぁ。


またMCUファンには驚きのキャラクターも登場して、あっ、ここであの作品と繋がるんだ‼️と、お約束の展開、ファンサービスも忘れていません。

エンディングにはあの超名曲も流れ(なんでこれが流れたのか?)、エンタメとしてもMCUとしても、かなりハイレベルな傑作。

MCUにアジアンテイスト?と見るのに躊躇している方、是非とも新しいmarvelの世界に飛び込んでみて下さい‼️

MCU 25作目
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