真っ黒こげ太郎

ハロウィン THE ENDの真っ黒こげ太郎のネタバレレビュー・内容・結末

ハロウィン THE END(2022年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

※今回はかなりネタバレしてますので、未見の方は見てから…と思ったけどかなり肩透かしな内容なので理想の完結編を想像してた方が楽しめると思います。
後、「新・13日の金曜日」のネタバレにも触れてますので、そちらの方も注意。



恐怖が、壮絶に、終わる――――。

…壮絶?



ブギーマンが来る

ブ ギ ー マ ン が 来 る

ブ ギ ー マ ン が 来 る


ブギーマンが来…え…?



前作の惨劇から時は流れ、2019年。
ブギーマンことマイケル・マイヤーズは何処かへ姿を消し、ローリーと孫アリソンは2人で新しい暮らしを始めていた。

そんな中、2人は街の人々から疎外されている青年コーリーと出会う。
コーリーはかつてベビーシッターをやっていた時に事故で子供を死なせてしまい、それからは町の若者や遺族に殺人者と蔑まれていた。

コーリーとアリソンの距離は徐々に縮まってゆくが、蔑まれ心を病んで行ったコーリーはふとしたことからマイケル・マイヤーズの邪悪に触れ…。




ハロウィンの夜に現れた殺人鬼の恐怖を描いた、スラッシャー・ホラー。
「殺人鬼が現れ若者達をを次々殺してゆく」スラッシャー映画の元祖を打ち立てた金字塔、「ハロウィン」シリーズ、「ハロウィン(2018)」「ハロウィン KILLS」に続く完結編。


今作で「ハロウィン(2018)」から続いたシリーズもようやく完結。
…なのだが、今回は3部作の中でも特に評判が悪い。

まぁ、マイケルが人をコロコロしまくるのを楽しめばいいんだし、ここまで来たら最後まで見届けようという事で劇場に向かったんだが…。



…どうしてこうなった。



1作目は文句なしにおもろかったし、2作目も多少アレな所はあったが殺戮劇や次回の繋ぎとしては存分に楽しめた。

しかし、この完結編は一番微妙な出来になってしまった!!!
シリーズを上手く畳むチャンスだったのに、どうして…。


まず一番問題なのが、本作はマイケル・マイヤーズの出番が極端に少ない。
じゃあ今作は何をしてるのかというと、ローリーと孫アリソンと、疎まれる青年コーリーの人間ドラマを描いている。
3人は町の人から疎まれ、蔑まれており、その事がきっかけで3人は親しくなっていき、アリソンとコーリーの中が縮まったりするのだが、正直スラッシャー映画の最終章でやることか?
そんな青春ドラマ、この映画に求めてないんだけど…。


「でもホラーである以上、マイケルの殺人シーンの出番はあるだろう!」と思い我慢して見て行ったのだが、この映画、マイケルの殺しの場面が少なすぎる!!!
実は今作で殺しを行うのは、マイケルの邪悪に触れて病んだ心が爆発した青年コーリー。
彼はマイケルと共に殺しをしたり、マイケルのマスクを奪ってブギーマン化して人々を殺してゆく訳です。要するに偽マイケルですな。

しかし、こちらとしてはモノホンのマイケル・マイヤーズの大暴れが見たいので、本家を差し置いてパチモンが大バレしてるのを見るとコレジャナイ感が漂いまくり。
バーナーや舌チョンパで景気良く殺してゆくのはいいけど、それなら本家マイケル・マイヤーズでも全然構わないワケで、偽物である必要性は無い。
しかも新たなブギーマンとなって戦いを繰り広げると思いきや、アッサリローリーに蜂の巣にされ、本家マイケルにマスクを奪い返されてアッサリ殺される。何がしたかったんだお前は!!


そんな感じで煮え切らない展開が続き、クライマックスではマスクを取り戻したマイケルとローリーの決着が描かれる。
ラストの戦いは普通に見ごたえがあるし、決着のつけ方としては腑に落ちる終わり方で終わるが、正直言って遅すぎる!!!
何で最初からマイケルとの決着一本で物語を描かなかったんだ!!


そんな感じで、シリーズを締めくくりはしたものの、どう考えても不要な第三者の介入の所為でイマイチな内容になってしまった本作。
そしてそのすべての原因が偽物のマイケルこと青年コーリーにあるような気がするのは俺だけだろうか?
だって子供を殺してしまったのは事故でマイケルは関係ないし、その後マスクを着けて殺しまわってもただの憂さ晴らしにしか見えない。

恐らく「人々の悪意が新たなる邪悪を生む」「邪悪が新たなる邪悪を生む」という事を描きたかったのかもしれないけど、そんなテーマを語るより先にマイケルの殺戮劇とローリーとマイケルの戦いを見せてくれ!!!

さらに言えば「スラッシャーに触れた病んだ人間が殺人鬼になる」というテーマは、「13日の金曜日」シリーズ4作目の「新・13日の金曜日」で既に描かれている。
あっちは殺人鬼に触れすぎて精神を病んだ少年が新たな殺人鬼になるという結末で、本作のテーマとダブってるし、何ならあちらの方が本家ジェイソンが一度死んでから新たなる殺人鬼になるという内容になっているので話の自然さも上だ。
(ってかあっちもコレジャナイ感を言われ興行収入が下がってしまったというのに…。)


完全にメインの殺人鬼を持て余した展開じゃ面白くなるわけがない。
ホント、何でシンプルにマイケルの大暴れとローリーVSマイケルに絞ってくれなかったんだよ…。
そうだよ、これならいっそ、同じくスラッシャー映画シリーズ3部作の完結編である「ハチェット レジェンド・ネバー・ダイ」みたいに、マイケルと警官側の戦いでも描きゃ良かったんだよ!!!

数年ぶりにマイケルが現れて殺しを繰り広げて、警官隊が出動して戦うけどマイケルに「プレデター」張りに狩られて全滅し、残ったローリーが一騎打ちしてそのままラストの流れに…って流れにした方が絶対に面白くなったし話的にも締まりが良かったと思うんだ。
内容的にも、見せ場的にも、キルカウント的にも。
(そしたら「最終章で一気にバカ映画になった」という批判が溢れそうだけど、こんなコレジャナイ感漂う内容になるよりはずっといいよ!)


という事で最初の頃は滅茶苦茶おもろかったのに、最後の最後でまさかの大ポカをやらかし、またしてもシリーズを綺麗に締め括れなかった今シリーズ。
どうしてこんなことになってしまったんだ…いやそもそも元々スラッシャー映画畑じゃない&過去作がトランスワールドアソシエイツ配給の監督に期待すぎたのが間違いだったのか…。

一応クライマックスのローリーとマイケルの戦いとその末路、そして後半の舌チョンパやマイケルへトドメを刺すグロゴア描写は良かったので加点して平均点になりましたが、俺は全くオススメしません。


…ホント、警官隊VS殺人鬼の方が見たかったよ俺は!!!
畜生!!借りてきた「ハチェット レジェンド・ネバー・ダイ」でも見よう!!!