Masato

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーのMasatoのレビュー・感想・評価

3.8

ブラックパンサー待望の続編にして、主演チャドウィック・ボーズマンに捧げるトリビュート作品、そしてMCUフェーズ4最終作。

チャドに捧げる作品としては申し分ない出来ではあったと思う。リキャストせずに作った意志も素晴らしいし、主役がいないからこそのストーリーを描けていた。だがしかし、やっぱりMCU的ひいては超大作的なカタルシスや迫力は感じられず、心苦しくも期待したほどではなかったと感じてしまった。

西洋人のアフリカ大陸の植民地化、そして住民の奴隷化から逃げた人たちが作ったワカンダ王国。脅威となるネイモアのいるタロカン王国もまた、西洋人の迫害に遭った人間たちの王国だった。正義と正義のぶつかりあい、戦いは避けられず共感も得ながら憎悪も得てしまう展開は見事だった。また、白人たちに虐げられた人間たちの物語でもあるということにも一貫性があって見事。

ただえさえ国王の死で気が沈み感傷的になっている家族にその事態が訪れることで、シュリ自身の復讐に駆り立てられる未熟さ、ブラックパンサーたる所以を浮き彫りにさせる。トリビュートだけでなく、チャドの死(ティ・チャラの死)がドラマに繋がるというところも良かった。

考えれば良さは分かるし、物語を詰め込んでいるから161分でも足りないくらいには短く感じたけど、妹のシュリの物語をいきなり喪失の暗い物語で始めてしまって入り込めなさがあったし、全体として物語が散漫としていたような印象があって個人的にはそれほどでもなかった。

また、前作同様に全体のアクションの配分が微妙。スローモーションを多用したアクションやその他サプライズ感のあるアクションも良かった。だが、アクションの少なさ、クライマックスのバトルのあっさりさとアクションのスケールの小ささがネック。アイアンハートの活躍をもっと見たかったし、ネイモアの強さもブラックパンサーの強さももっと表現してほしかった。
監督自身はあまりアクションに興味がないように感じる。必要最低限のアクションを描いたという印象。

音楽は引き続きルドウィグゴランソンが担当。前作ほどではないがやはり印象的な劇伴だった。サントラも見事。サプライズでリアーナが久々の新曲を提供。沁みる主題歌だった。

IMAXはなぜ3Dにしたのかよくわからない。ブラックパンサーは全体的に暗いシーンが多いので、3Dにすると余計暗くて見辛かった。
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