ゼロ

シン・ウルトラマンのゼロのレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
3.3
そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン。

庵野秀明監督の「新世紀エヴァンゲリオン」「シン・ゴジラ」が好きで本作を鑑賞したのですが、感想に困る作品となっていました。

「ウルトラマン」の映画として観ると、初見の人でも分かるシナリオとなっており、113分の間に未知の生命体であるウルトラマンが、なぜか人間を助けれてくれて、世界を救う大冒険へと連れて行ってくれる。タイトルロゴにもある「空想特撮映画」に恥じない作品となっています。

どちらかと言えば初見の人よりもシリーズのファンの人の方が、作品全体に漂う愛を感じ取ることができると思います。ゾーフィ・ザラブ・メフィラスなどの外星人が登場し、最大の敵であるゼットンは、マルチバースを取り入れた生物兵器で、強敵として描かれていました。個人的にメフィラスを演じた山本耕史さんは適任でした。

ウルトラマンらしいアクションのシーンも数は多くありませんが、現代にリブートして迫力を増しており、特に最初の30分の掴みは非常に良かった。

大人が観ても楽しめる「ウルトラマン」であることに間違いありません。子供が見るとアクション少ないので、中盤以降飽きる可能性があります。原作を尊重した「ウルトラマン」であることは間違いありません。

ただ「ウルトラマン」がそこまで好きでないと、評価は高くならないかな、と。

おそらく原作愛が強すぎて、劇中に盛り上がるような音楽を多用しなかったり、人物を撮影する時に椅子や机などからと変なアングルで撮ったりというのがあったからだと思います。特撮部分は面白かったんですが、禍威獣特設対策室の人間を深掘りすることなく、終わった気はします。浅見 弘子役の長澤まさみさんは体を張っていましたが、滝 明久役の有岡大貴さんは、秀才キャラに無理があった気はします。

キャッチコピーに「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン。」とあるので、ヒューマンを見るのではなく、ウルトラマンを見ろってことなんでしょうが、何とも。神永 新二(斎藤工さん)の何を考えているか分からないキャラは好きなんですけどねえ。

過去のリスペクトに捉われるのではなく、現代の作品として演出や音楽で盛り上げてくれれば、より楽しむことができた作品ではないかと思います。内容は詰め込んではいましたが、理解できないほどではなかったので、あと一歩の細かい演出があればなあ…といったところ。
ゼロ

ゼロ