青春も延長できたらいいのに。
同名漫画を実写化した作品。交わるはずのない合唱部部長・岡 聡実と四代目祭林組の若頭補佐・成田 狂児がカラオケを通じて、青春していく物語。
中学生とヤクザのバディもので、コメディなのはすぐに分かりました。いきなりヤクザが、組のカラオケ大会で、組長から刺青を彫られたくないから、歌が上手くなりたい！と頼むわけはない。
しかし、聡実とカラオケに行き、「紅だあー！！」と叫ぶと、彼は真剣にやっているのかもしれない…と聡実視点では感じられる。
中学生という成長期に、ソプラノの声が出なくなってきた…という変化を、狂児と共に過ごしていく青春。そりゃ、声変わりする時期だと周りには相談できないし、団地住む両親に変な傘だと上手く指摘することもできない。思春期は大変。ただ彼は合唱部を真剣に取り組んでいました。
主人公が岡 聡実っていうのもあり、ヤクザ側の成田 狂児には、大きなドラマはない。ただカラオケをしている変な大人っていう意味合いしかない。
終盤にあるあの展開ですらも、ヤクザなら突発的なことが起きても違和感がない…という意味しかない。
しかし、成田 狂児の側でX JAPANの「紅」の曲を上達するために、側にいた岡 聡実が、初めて全力で声を掠れて歌うというのは、胸を打つものがありました。彼は彼なりに真剣に考え、そして鎮魂歌として歌うのは、このドラマの物語と歌詞がリンクして、素敵でした。
めちゃくちゃ笑える…とか、合唱部の最後の大会に対する青春もの…とか、そこら辺を期待すると肩透かしを喰らうとは思いますが、言語化するのが難しいのですが、青春の1ページだったな…と呼べるようなセンチメンタルな感じがある作品でした。
P.S. X Japanの紅を掴み（ネタ）として使っていたのは、面白かったです。
