ひでやん

1917 命をかけた伝令のひでやんのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.0
戦場を駆け抜けるトラッキング・ショット。

今作は伝令兵を「ワンカット」で追う映画という事で話題になっていたので、冒頭からカメラワークばかり意識しちゃって、カットの繋ぎを感じさせない長回しの映像に深く感心した。

狭い塹壕の中や、ぬかるみで足場の悪い地をドリー・ショットのように滑らかに移動するカメラ。手持ちにしてはブレのない映像。クレーンやドローン、追跡車などを駆使したのだろうか、トラッキングの没入感が半端ない。壊れた橋を渡るシーンや、川で流されるシーンはどうやって撮ったんだろう。

最前線の味方へ作戦中止を伝えるというストーリーはシンプルで薄く感じたりもするが、回想や他の場所への切り替えが一切ない事で、任務がいかに「命がけ」であるのかが伝わった。ただ、いつ命を落とすか分からない緊迫感より、NG出しちゃったら台無しという緊張感の方が強かった。

曲がりくねった塹壕内から無人地帯、そして敵地へと進む道のりは、次々とステージをクリアしていくゲームのようだ。草原の美しさと戦場の残酷さの対比を見つめながら、切れ目のない映像に興奮。しかし、暗転という明らかなカットの繋ぎでガッカリ。全編ワンカット「のように見える」作品だと知らず、勝手に完璧を求めてしまった。

「前」へ突進する歩兵達に対し、「横」へ疾走する終盤は見応えあり。重大な任務も成し遂げてしまえば意外とあっけない。
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