ニャーニャット

1917 命をかけた伝令のニャーニャットのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.3
エキスポシティのIMAXで観たんだけど、「インターステラー」以来のIMAXで観て良かった!と思える作品。「ダンケルク」も良かったけど、IMAXって2Dのほうが威力を発揮してるように思う。
FPSもしくはTPSのような没入感。重要な指令を伝えるという大きな物語と仲間のある想いを伝えるためという小さな物語が並行して走る。ゲームのような演出で映画的物語を紡ぐ、そんな映画だった。
カットを割らないからこそ、突然訪れる危機だったり、悲劇だったり、奇跡だったりを追体験できる構造になってる。普通の映画とは明らかに没入感が違う独特なものになってる。

自分がTPSのゲームをやってる時でも、なんとなくいいショットを意識しながら右スティックをいじってるけど、当たり前だけど、ディーキンスのカメラワークは別格(笑)
イニャリトゥの「バードマン」とかアルフォンソ・キュアロンの「トゥモロー・ワールド」「ゼロ・グラビティ」など話題になった長回しは数知れないけど、ここまでバチッとショットを捉えてきたのはディーキンスだけだと思う。ディーキンスの完璧な構図と照明への執念を感じる。上にあげたような他の長回し映画と違って、印象的なショットがちゃんと頭に浮かぶんだよね。それでも普段の映画のように全カットバキバキにキマったショット連発って感じではもちろんなかったんだけど。POVっぽいショットも多かったし。

目が覚めたら広がる燃える街のあまりにも美しい地獄を切り抜けた後、桜舞う川を下るシーンは死と復活を暗喩してるんだろうけど、これが凄まじいのなんの。このシーンをIMAXで観られただけでアカデミー賞作品賞級の賛辞を送りたい。

個人的には、サム・メンデスの過去作にある湾岸戦争を描いた「ジャーヘッド」の起伏(ドンパチ)のない消化不良の戦争映画(もちろん意図された演出、こちらもディーキンスとコンビを組んでる)から溜まってたストレスが解放されたような、しっかりサービス精神に溢れた数々のドンパチ演出にお腹いっぱいな思いです。