ベビーパウダー山崎

わたしたちの家のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

わたしたちの家(2018年製作の映画)
2.5
反ワクチンに目覚めた俺の心が腐っているのか、日々の肉体労働で頭がおかしくなったのか、子供たちの純粋無垢で前向きな姿を浴びてもその輝きに耐えられず劇場版『はじめてのおつかい』程度にしか見えなかった。中心の女の子の視点のみでしか語られないので親の離婚も「たまたま」出会った姉妹も迷った先で「運良く」見つけたテントも都合良いなあとしか思えず。こういう画を撮りたいからと人物をその状況へと作り手が先導していくのが透けて見える。
繊細な感情の変化をドキュメンタリースタイルでリアルっぽく捉えるのは否定しないが、その行動まで日常の延長線上のような見飽きた景色しか映せないとなると話は別。現実を越えようともせず驚きもショックもない「映画」はとても貧しく見える。相米の『お引越し』と比べるのも酷だが、映画の強度は天と地ほどの差がある。