てっぺい

マリッジ・ストーリーのてっぺいのレビュー・感想・評価

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)
3.5
【発見する映画】
痛々しいほど傷つけ合うけど、消えない二人の絆。そんな繊細な演技を「スターウォーズ」「アベンジャーズ」アクション映画なイメージが強い主演二人が見事に昇華する、新しい発見がある映画。
◆概要
Netflixオリジナル映画。2019年・第76回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。監督は「フランシス・ハ」のノア・バームバック。出演は、「アベンジャーズ」シリーズのスカーレット・ヨハンソン、「スターウォーズ」シリーズのアダム・ドライバー、ローラ・ダーンら。
◆感想
離婚する二人の心の機微が時に激しく、時に穏やかに描かれる。具体的な離婚調停の工程の中で、心を引き裂かれるような痛みを感じながら、離婚というものの無情な重みを叩きつけられる。アクション映画のイメージが強いアダム・ドライバーとスカーレット・ヨハンソン、この二人の演技力の高さには本当に驚かされた。
◆痛々しい
二人で直接話し合う事で解決させようとしていたチャーリー。どこか心の中で固い結論を持ち、弁護士の手配を粛々と進めるニコール。ヘンリーを第一にしていたはずの考え方が、勝つ事第一に変わっていき、結局お互いの全てをあぶり出し傷つけ合う二人。弁護士抜きの二人だけで話し合いを始めたはずなのに、震え泣くまでの罵倒合戦に終わるシーンはとても痛々しかった。
◆絆
でも、チャーリーの髪を切ってあげたり、チャーリーの好きな食べ物を熟知していたり、靴紐を直してあげるニコール。夫婦生活の中で生まれた、消えない絆が要所要所で描かれていて、それは微笑ましかった。(ちなみに日本人の自分にとっては、離婚調停中でも普通にキスを交わす二人の感覚が新鮮だった)
◆演技
「スターウォーズ」シリーズのアダム・ドライバー、「アベンジャーズ」シリーズのスカーレット・ヨハンソン。二人ともそんなアクション映画のイメージが強かっただけに、この映画での爆発する演技力がすごい。笑顔から一瞬で落涙するシーンや、弁護士に洗いざらい話す長回し、スカーレットの演技には本当に驚いた。アダムも、「パターソン」などの演技派映画が過去にあったけど、本作でも前述の震え泣く罵倒のシーンには本当に惹きつけられた。思わず泣けました。

NYとLAを何度も行き来しながら、ヘンリーからも終始懐かれず、いいことが一つもなかったように思えるチャーリーが男目線では少し可哀想に思えた。が、この二人がいい距離感で今後やっていける希望が見えた、ラストは少しほっこりできる映画でした。とにかくこの主演二人の新しい側面が見えたような気がして嬉しかった!アダム・ドライバーに至っては歌も上手いとは笑。これが見たくてNetflixについに加入した、Netflixデビュー映画だったけど、十分ふさわしい、いい映画でした!
てっぺい

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