職を失った中年男（水野直）が、嫌がる家族に田舎暮らしを強要させていく。都会の喧騒からの脱却をブラック・コメディ調に描いている、オーピー配給のピンク映画。

（筆者は、成人映画館向けのR-18版「田園日記 アソコで暮らそう」を鑑賞している）

常時ハイテンションの暑苦しい夫が、妻（白木優子）、長女（南涼）、長男（津田篤）を、強制的にド田舎へと連れ出す。男女の睦言がすぐ隣にある、オープンな環境におけるセックス模様を、艶笑喜劇として描いていくスタイル。

端的に言うと、コメディ集団を率いている喜劇俳優・水野直の一人舞台。都会部からのドロップアウトに成功した幸せ家族のドラマに辟易してきたところで、"鑑賞者が抱いている気持ちを代弁してくれる"瞬間が最高潮となる。

女優の魅力を引き立たせることも、田舎特有のエロスを喚起させることもしていないため、平板なドラマをひたすら眺める時間に支配される。往々にして、竹洞監督作品は「テンポを早めて欲しい場面で、早めてくれない」という難点が見受けられる。

多分リストラで会社を辞めた父水野。売れない役者津田と浮気をしている母白木。二卵性双生児の引きこもり無職の男細川。女南。
田舎に移住して困難に立ち向かう生活を夢見て多分青森へ。軽トラが八戸ナンバー。そこでは優しく指導してくれるイワヤと青年団団長折笠がいる。イワヤは下ネタ満載で第一印象は感じ悪かったが結構いい人。折笠と南は結婚。開墾も順調だし引きこもりの息子もよく働くしで全て順調だったのにその順調が納得出来ない父。

会社の人間関係に疲れて田舎への移住を決めた父に、妻と二人の子供からは不平不満が噴出し…。
独特なセリフの間と空気感。
R-15版『美熟女 田園不倫づくし』。長崎家の田舎移住。目標はオーガニックカフェ。名前"堅実"。コンビニは３キロ先、ラブホは車で１時間。昔のアメリカのドラマごっこ。息子は青年団副団長、娘は農協の青年と婚約、妻は売れない役者との不倫清算。"派手なパンツ子"。八つ墓村風。まばたきしないデリヘル嬢・マイト。母性スイッチ。ニュー長崎家。「俺が欲しいのは、苦難に立ち向かったという証なんですよ」