ShinMakita

ブリング・ミー・ホーム 尋ね人のShinMakitaのレビュー・感想・評価

2.0

ソウル。ER勤務の女性看護師ジョンヨンは、感情を押し殺して黙々と患者のケアを続けている。6年前、彼女の息子ユンスが行方不明になった。以来ずっと探しているが、手がかりは掴めていない。夫のミョングクは数学教師だったが、今は学校を辞職し、フルタイムでユンス捜索とビラ配りに専念していた。ある日、ジョンヨンの元に一つの情報がもたらされる。それは、田舎の漁村にある「マンソン釣り場」でユンスを見たというものだった。ユンスは「ミンス」と呼ばれ、幼いながらもそこで働かされているというのだ。クルマを飛ばしマンソン釣り場に向かうジョンヨン。だが釣り場経営者カンら従業員たちは、そんな子は知らないと供述する。釣り場に出入りする地元の警察官ホンは、ジョンヨンの持参したビラ写真を見ても見覚えがないし、早く帰りなさいと諭すばかりだ。納得がいかないジョンヨンは、夜中に釣り場に忍び込んでしまうのだが…


「ブリング・ミー・ホーム」。韓国映画です。

以下、ネタバレ人。

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ひとを3つのタイプに分けるとしたら、1パーセントの善人と10パーセントの悪人、そして89パーセントの無関心な人、になると思う。この映画は、その「無関心」に翻弄された女性の物語だ。

子供が虐待され続けていても、誰も何も言わなかった。釣り場の客、地元の漁師、ただの1人も通報しなかった。釣り場の近くに、きっと以前ミョングクが貼ったであろうビラがあったのに。その「無関心」が、彼女を絶望の底に突き落とすのです。これ、「韓国って怖いよなー」で片付けられる話かな。日本でも同じことはあり得るんじゃないかな。だからしょっちゅうクソ親が子供を虐待死させるニュースを目にするんじゃないかな。無関心ほど罪深いものは無いよね。

映画のオチは、究極的絶望と希望がブレンドされた奇妙な後味でした。副爪、猟銃まわりの伏線もまあまあ。イ・ヨンエのインテリジェンス溢れるクールな顔の力がハンパ無いんだけど、何よりクズな皆様のオンパレードがいかにも韓国映画。警官もクズ、釣り場の人間みんなクズ、義理の弟ですらクズだから、行方不明者家族会の青年も何かあるんじゃないかと勘ぐってしまいます。

この秋、香ばしいクソ野郎たちの顔を見ながらイヤーな気分になりたい人に、1番の推薦作品。韓国警官の非道&無能ぶりにはいつも以上にイライラしました。

…マンソンって地名か人名かわからないけど、釣り場の鬼畜どもが擬似家族として暮らしているのを見ると、「これが本当のマンソンファミリーだな」とか思ったりも。オススメです。
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