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ザ・レポートのメルのレビュー・感想・評価

ザ・レポート(2019年製作の映画)
3.8
9.11アメリカ同時多発テロでの容疑者にCIAが不当な拷問を行なっていたという事実の調査を任された男の話。

因みにパッケージの赤い線の下にはTORTURE(拷問)の文字が隠されている。

実際にあった事を無かった事に、或いは正義の為に必要だったと言い換えるCIAとの闘い。

拷問の内容は、まぁ酷いものだ。
濡れタオルを顔に押し付けて水を掛ける水責め。全裸にして縛り上げ大音量のヘビメタを流し眠らせない。その他次々と非人道的な拷問が繰り広げられる。

より強力な拷問で口を割らせようとする者、それに反対する者、拷問を隠蔽しようとする者、それとは正反対に事実を明るみに出そうとする者、それぞれが皆愛国心からなのか…と思うと唖然とさせられる。

愛国心は大切だけど一歩間違うととんでもない方向へ向かって行く。

CIAの様に組織が肥大化するとそこには目に見えずらい闇が存在するのだろう。
そして権力や組織に守られてる人間は、多少道を踏み外しても全く傷を負うことなく順調に出世していくという事実。

拷問の事実が明らかになっても誰一人裁かれず多くの者が出世していったというテロップが虚しく流れる。

この作品の遥か前にグァンタナモ収容所での拷問が映像付きで流されたこともあるので今更な感想も拭えない。
しかし、この様に記録として残すこと、世界に発信することの意義はあるだろうと思う。

それにしても捉えられて拷問を受けた沢山の人の中には全く関係ない人も多く居た様で、その辺の杜撰さと強引さこそ問題にすべきなのでは無いかと思う。
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