Aya

ザ・レポートのAyaのレビュー・感想・評価

ザ・レポート(2019年製作の映画)
3.5
#twcn

収容所の虐待行為を調査して告発するだけが、めっちゃ大変な映画。
全体的に専門家が難しい仕事をしている印象。

ジョン・ハムがアダム・ドライバーの上司とかあ!!
昨年NETFLIXオリジナルで「ザ・ランドロマット~パナマ文書流出」gw機上公開で「喜望峰の風に乗せて」とノリの乗っているスコット・Z・バーンズの今度はAmazonオリジナル作品。

今や不動の人気俳優、アダム・ドライバー、ジョン・ロットマン、アネット・ベニング、そして私のジョン・ハムという豪華布陣。

アダムはアメリカ合衆国上院のスタッフ。
オバマ政権下で問題となったCIAによる容疑者、捕虜への消された尋問記録の調査するためにCIA内部に潜入する。

もちろんコンプラ必須でなかなか情報を出してくれないCIA(機密情報機関なんだからコレは当たり前では)
当時の政治家や官僚、軍高官も実名で出てきます。

育ちも頭も良く、良い大学を出て名門のCIAやFBIに就職した人たちが、倫理は0で論理と化学に基づくSERE法という新しい拷問方法を思いついた。

まあ、みなさん知っての通り

襟を掴み強く引き寄せる ⇨ 顔を挟む ⇨ 顔に平手打ち ⇨ 閉所に閉じ込める ⇨ 壁際に立たせる ⇨ ストレス姿勢の強要 ⇨ 睡眠を奪う ⇨ 水責め ⇨ 虫の使用 ⇨ そして偽埋葬。

他にも目を覆いたくなるような虐待の数々。

司法省のアドバイザーは法にひっかけて「酸をかけても目をくり抜いても止める権限は大統領にはない。それでアメリカ国民の命が守れる。特別な情報が得られる」

ちょっとねーきつい!!

現場の収容所の執行機関をKSMという。
そりゃあ911の時の未曾有の恐怖と理不尽な悪意、そして多くの悲しみを経験してるからみんな一種の神経症を患ってるように見える。
じゃないと同じ人間にこんなことできるわけない。
冷静に法の名の下に。

それほど、当時のアメリカ人がどれほどのものを失ったか・・・。

しかし、そこに必ず政治が絡んでくる。ブッシュ・Jrには何も伝えず、チキンホークのチェイニー副大統領(「バイス」でチャンべが演じた役)が大元の指揮に当たったのだ。

そしてついに虐待の死者が出てしまい、体制は大きく揺らぐことになる。

アダム・ドライバーは情熱を持って、というか割と最初から調査員として動き、当たり前に改竄された情報や誤った指示系統、嘘を見抜き、真実と人権に目覚めて改善要求のようなものを、自分を配属している議員に伝える。

まあこの調査委員会も登頂とかはしてるんですけどー。

世間もまだ「テロリストを捕獲し、尋問している」段階だったが、CIAや司法省内部、そして国家(アルカイダは国家ではないが)間において水面下に様々な交渉がされていた。

虐待を行なっている執行員は対象の容疑者が真実を言った場合「水責めのおかげだ」といい、それが嘘くさい、となった場合「水責めのおかげで嘘をついていることがわかった」という。
麻痺した状態だ。

水責めはどんどん過激になり、腸内洗浄まで・・・(これやりたい人とやられたくない人極端に分かれるよね



人が死ねば間違いだということになる

収容所のDr.が告発しに来たときに言います。
「米兵が捕虜になったときにどうなるか考えてくれ。jyネーブ条約に則って人間らしく扱われると思うか?」
しかし、2度とビルに飛行機を突っ込ませないために、正義のために行っていると収容所の所長は言う。

「拷問(強化尋問)を行う局員のための新手の正当防衛」

生存survive、回避evasion、抵抗Resistance、逃走escape
学習性無力感の誘発
命を守るためでなく従わせるために
3D 衰弱→受属→恐怖を誘発
襟を掴み強く引き寄せる、顔を挟む、顔に平手打ち、閉所に閉じ込める、壁際に立たせる、ストレス市政の強要、睡眠を奪う、水責め、虫の使用、そして偽埋葬、の工程で精神的にテロリストを追い詰めるそうな・・・。

CIAが行った183回の水責めから導かれた結論が「正直ではない」
この拷問をやめさせるために、ありもしないテロ計画をでっち上げる。

イスラム教徒のヒゲを剃れば心を閉ざすぞ?真っ先に屈辱を与えないと。真っ先に服を脱がせる(学習性無力感だ)。それから犬を使う。部屋を半分で仕切り、電気を流す。すると反対側に犬は逃げる。次に両側に電流を流す、するとケージを開けても犬は逃げなかった。学習性無力感だ。それを奴らにも植え付ける。
それじゃ法廷で捌けない、誰が裁判をやると?
From FBI

CIAは調査隊に目をつけ、脅し、情報提供に応じなくなる。
そして同僚にも生活がある。

今までアダム・ドライバーが調査してきたこと、それぞれの機関で行ってきた捕虜への虐待。
すべてがブッシュ.Jrにもオバマにも報告はされていなかった。
CIA、EIT、FBI、ペンタゴンの工作は入り混じり、

まだまだ調査中のアダムの功績は陽の目を見ることはなく、キャスリーン・ビグローの映画が先に作られる始末。

やっとこ聴聞会が開かれても聞きたいことには答えず「しんせつにしてやったのに」という謎のおせっかい感情まで持たれ、超八方塞がり・・・。

報告させなかったくせに、逆に報告義務を怠ったと責められ自身のデータも全て取られ挙句ハッカー呼ばわりされで解雇されることに。
実際ハッキングしてたのはCIAのくせに!

しかし、事実とアダムの誠実な努力を認めた上司は全面的に彼をバックアップっすると約束する。

議員はなんだかんだうるさくおおりあいつかない場面や納得いかない場面もあったが、最後までアダム・ドライバーを信じ、彼の報告の証明を信じて常識に囚われなかった。

過ぎたことの補償はできなかったものの、一つの間違いをこの場で認めることで、止められ、悔い改め、同じ過ちをしないよう、糧になった。
ただ、それだけ。

Aya

Aya