空海花

人生、ただいま修行中の空海花のレビュー・感想・評価

人生、ただいま修行中(2018年製作の映画)
3.3
「ドクタースリープ」鑑賞後にて。
観る前から、ダニーが“ドク”と呼ばれていたことで自身の入院や治療のことを思い出していて、これを観ることに決めていた。
で、シンクロしてしまった訳だ。
あの時看護師さんは本当に白衣の天使なのだと思った。
そんな看護師さんは一体どのような教育を受けているのか気になったし、知らなければならない気がした。

この映画はフランスの看護学校のドキュメンタリー。ドキュメンタリー映画を数多く撮られているニコラ・フィリベール監督作品。

1章は心得、2章は実習、3章は振り返りみたいな感じの構成。
章ごと暗転があるが、ただ淡々粛々と撮られており解説やナレーションは一切入らない。字幕の説明さえも。なので理解には少し難しい部分もある。フランス語がわかったとしても日本語字幕がないと追い切れなかったかもしれない。

1章
“全ての人々に耳を傾け助言し、教育および看護をする”
うん、意外だが教育も確かに必要だなとか。
“出自や慣習、地位、信仰、宗教、障がい、健康状態、年齢、性別、保険の有無にかかわらず、平等に看護を提供する”
うん、平等じゃなかったらとてもイヤ。
移民の多いフランスならではという感じもするが日本だってそうであってほしい。
保険の有無も。日本はちゃんと払ってさえいれば保険はだいぶ保障されている。でも生命保険も大事派。
日本の医療界とはまた違う部分があるだろうが、イメージとしてはしっくりと来た。
あと“自立”という言葉も概念がしっかりしていたし、“患者も自分も最高の状態でケアを行う”など、道徳的云々だけではない理論として納得させられた。

2章
内容が勉強なのでさすがに途中うつらうつらした…血圧計ったり、聴診器聞こえなかったり、注射の練習。筋肉注射、皮下注射、痛そう…
でも点滴の場面でバチっと目が覚めた(笑)ほんと痛いのやめて。グリグリ探すのやめて。だからって動かしにくいとことか手の甲とか絶対イヤだから!(笑)

3章では、生徒たちが教員と個人面談をして、フィードバックを行う。
次はどの科へ実習に行きたいか、とか辛かったことはなかったか、その時どう感じて、どう対処したか、またどうすれば良かったと思うか、とかかなり親身な面談をしていたのが印象的だった。
前向きでとても良い経験をしたし、もっと経験を積みたい!と笑顔の人も居れば、
対応が難しかった、どうしたら良いかわからなかった、物凄いストレスを感じた、と答える人も居る。難しい顔をしたり、泣いてしまう人も居る。
ただ感心するのは悩んだり苦しんだりしていたとしても、自身の心の中や状況を理解しようと努めていること。教員も傾聴の姿勢で、コンサルしていること。
上司と部下または先生と生徒の悩み相談とは違う。“それは良くない”“こうした方が良い”ではなく、答えを生徒から引き出すことに終始している。自身で答えを導き出す手法を見ることができ、感心した。若いうちから受けられるのは良いかもしれない。
ちなみにこれは生徒が希望の教員だかに申し込んで行うようだ。


新人さんや実習生に点滴系はちょっと怖いけれど(笑)
でも看護師になろうと思って頑張っている姿はすごいなと思ったし、緊張させるともっと怖いので(笑)よく話しかけたりしてた。

立場を問わず、看護に関わったことのある人、
また仕事を問わず初心を取り戻したい時などに観ると良いかもしれない。
映像は作り手からは何も語らないが取り上げ方には素敵な視線を感じた。


でもこれ、全然レビューではないな(笑)すみません。
空海花

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