みほみほ

映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者のみほみほのレビュー・感想・評価

4.3
🎨2021年80本目🎨
🖍映画版 シリーズ28作目🖍

冒頭の世界観から心を掴まれてしまって、まだまだこんな発想があったのかと驚かされた。これだけシリーズを積み重ねると、傑作もあれば1ミリも面白いと思えなかった作品まで存在するけど、今作は紛れもなく傑作でした。

空に浮かぶ数々のラクガキを見て、これは本当に子供が書いてるんだなと一発で分かった。大人にはこんな表現は出来ないし、絵から感じる純朴なものが突き刺さって、気付いたら冒頭からボロボロ泣いてた。懐かしさとかもあったんだろうけど、急に込み上げたもんだから自分でもびっくり。

笑いと涙の緩急の波が猛烈に激し過ぎて、ジェットコースターみたいな気分で、飽きる間も無し。ぶりぶりざえもんのキャラクターが今回効いていたし、後任の声優さんのクオリティが半端なくて、感動すら覚えた。何度も笑わせてくれたぶりぶりざえもん。こうしてスポットライトを当てる矛先を、野原一家やかすかべ防衛隊からズラす回も本当に大切だなって思った。玄田哲章の配役も最高だった。
 

今までのクレしんなら、好きな回でも悪役と闘う時にちょっぴり飽きてしまいがちなパターンが多かったけど、今作は違った。泣いて笑って笑って泣いての繰り返しで、「やっちゃえば〜♫やっちゃえば〜♫やっちゃえやっちゃえやっちゃえば〜♫」で完全に脳内を駆け巡るカオスに酔って、感情がついていけない程のボリューム感。ひたすら笑ったし、何なのこれ〜と言いながら中毒になった。劇場で観たかったなー!と唸るシーンでした。

考えさせられる部分が強くて、ここ最近のクレしん映画の中で群を抜いて響きました。水に濡れるとアウトと聞いて分かってはいても泣きまくったし、間髪入れず笑わせてくれるしんのすけのキャラクターに何度も救われました。

ストーリーが深くて深くて……自分勝手になっていく人々を戒めるような叫びが深く突き刺さった。緊急時こそ人間の本性が現れるというが、大人の利己的な考え方よりも、純真な心が集まって勇気が勝つ感じが堪らなく良かった。

エンドクレジットで、あの絵の数々は春日部の子供達が書いた事を知り、二重に感激してしまった。春日部の子供ってところがまた良い…そういう企画を立てたのが本当に素敵だと思った。子供が書くからこそ伝わるものって確実にあるとそう思わせてくれたので、今作の世界観と結び付いてより素敵でした。

今作は敵味方とかではなく、人としての在り方をしんのすけの珍道中から教わった気がします。次回作はカンフー、ユメミー、ロボとうちゃんの監督した方の作品だからそれもまた楽しみ!!

クレしん映画と一緒に歳を取ってきたようなので、私がおばあさんになるまでずっと続いてほしいけど、大人になったしんのすけも観たいなというのも本心。臼井先生亡き今、叶いようがないとは思いますが、この先も楽しませて欲しいなと改めて思わせてくれた傑作でした。

結婚記念日にセレクトして本当に良かった。
みほみほ

みほみほ