「新聞記者」という映画のきれいには物語化できなかったであろう部分を見せてくれるドキュメンタリー映画。森達也はちょいちょいその撮影対象の人が特殊な人ではない、ちょっとしたおっちょこちょいな部分も差し込んできて親近感を持たせようとしてくる。
官邸記者会見に入る入れんで警備員や警察ともめ続ける森達也のシーンは彼ならではのシーンの気がした。撮ってる自分というものを挟み込むというか、撮影対象を怒らせてでも執着するというか…。
菅氏の官房長官時代のふてぶてしさが繰り返し流れる度に今じゃこの人が首相なんだよなと日本の民主主義に疑問が湧く。望月記者みたいな存在がいて初めて見える政府のそれでも一部。いかに隠された世界で政治が行われているか。そのほんの一部を露呈させてくる望月記者ですら排除しようとするのだから、隠しているもののデカさを想像させられる。
左とか右とかそういう話ではない。作中にも出てきたけど、右だろうが左だろうが権力者がどのようにその権力を使っているのかをクリアにするのがメディアの大きな仕事なんだろう。
ここのところ芸能人の不祥事ばかりがニュースで目立つのはこういう政治的な問題に目がいかないように忖度したメディアのせいじゃないかとすら思えてくる。
