tama

ブルー・バイユーのtamaのレビュー・感想・評価

ブルー・バイユー(2021年製作の映画)
3.2
理不尽な不幸はまだ世界に溢れているんだと改めて感じるつらい映画。
養子に貰われて酷い目に遭い、たらい回しにされてそこから逃げても移民ということでおそらくまともな職にも就けず犯罪グループに入って凌ぐしかなかったのも容易に想像できる。そしてそこから足を洗いたくても前科がある移民だからとなかなか上手くいかない。安い賃金でタトゥー彫らせてもらうくらいの仕事しかない。養母の存在を消したい気持ちも頼み事したくない気持ちもわかる。
キャシーはアントニオを愛していたとはいえ、白人の中流家庭育ちでアントニオのこれまでのやるせない人生の理解ができないし、アントニオも彼女や娘にはよくあるアメリカ人の暮らしをさせたいためにも自分の過去をあまり話さなかったんじゃないだろうか。犯罪者だから強制送還もしかたないとは割り切れない話だと思う。犯罪を犯さないで食っていけたのか、学歴もなくまともなIDも持たぬ者がサバイブするには何があったというのか。
異国からの養子縁組の危うさ、貧困、差別、それらが入り交じって選んでいない理不尽を食らう。自ら選んだ娘や妻や家族や住処は全て奪われるのは、見ていて辛かった。
tama

tama