しんご

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONEのしんごのレビュー・感想・評価

3.8
前作に引き続き、クリストファー・マッカリーが監督として続投。これで3作連続のミッションシリーズ担当となり、トムからの高い信頼が伺える。PART2に続く導入編で謎の多い箇所もあるので個人的にはこのスコアだけど、さすがはヒット請負人のトムとマッカリーのコンビといったところで、162分の長尺が全く気にならない面白さ。次の展開に向かわせるフックが飽きさせない。

キトリッジが1作目以来久しぶりに登場するのもあるのか、指令シーンがシンプルなものとなり、クライマックスの列車格闘シーンが1作目のオマージュだったりと「原点回帰」的な要素がちらほら。他方で、今回の最大の敵が生成AIだったりとするのは時代だなと。本作に出てくる「エンティティ(=実在するもの。字幕では「それ」と訳されていた)」は、「2001年宇宙の旅」(68)のHAL9000、「ターミネーター」(84)のスカイネット、「攻殻機動隊」(95)の人形使いに該当するものと捉えるのが適切だろうか。人類との対立悪としてはベタだけど、やはりテーマとしては今の方が現実的な怖さがありますね。余談だけど、全米俳優組合のストの原因の1つに「生成AIで作成した画像と2次使用のギャラ問題」があり、このストがもとで本作のPART2の撮影が中断しているのは何とも皮肉な感じ。

物語最大の見せ場であるバイクジャンプシーンを見ると「緊張と緩和」の凄さを痛感せざるを得ない。「断崖絶壁から人がモトクロスバイクで飛ぶ」というシーンはCGでも容易に作れるはずだけど、これをトム・クルーズ本人が実際に飛ぶからこそ生身の人間が観客に与える「緊張」が生まれ、イーサンがその関門をを乗り越えたとき「最高の緩和」としての感動を観客に与えている。

これは劇場で見るべき作品。
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