シュローダー

ガンズ・アキンボのシュローダーのレビュー・感想・評価

ガンズ・アキンボ(2019年製作の映画)
4.5
クソ楽しくてクソ面白いクソ最高な映画だった。頭の中の小学5年生がウキウキしそうなプロットを、本気で映像化してみせる製作陣の本気ぶりがビシビシと伝わってきて大変好ましい。人の命が虫ケラよりも軽い人死にの満漢全席を完璧に彩るイケイケの編集と、360度グワングワンと回転させるのが印象的な撮影。そして、ハリーポッターの呪縛を完全に振り切ったダニエルラドクリフのヤケクソ気味の演技とサマラウィーヴィングの「キックアス」のクロエグレースモレッツ以来とも言える口汚いダーティーなヤンキー娘といった役者陣の演技。全ての要素がこの映画を素晴らしくしている。さらに、この映画がただのエクスプロイテーションムービーに終わっていないのは、シナリオに込められた現代SNS社会への皮肉。主人公のマイルズは所謂「ネット荒らし」でしか生きる実感を得られない男である。彼がキーボードで書く悪口が、まさに「二丁拳銃」として腕に銃として括り付けられてしまうこの物語が象徴するメタファーは、決して我々観客にも他人事ではないし、殺人ゲームを楽しむ観客の姿が露悪的に示されるのも、この映画をバカ映画と期待してわざわざ観に行く僕のような観客に対して釘を刺してくるように思える。そのような毒っ気も織り込み済みで、インポ男が立ち上がるまでの物語としてもきちんとアガる。まさに「ぼくのかんがえたさいきょうのえいが」に仕上がっている。僕はとても大好きな映画ですね。年に5本はこういう映画を観たい。