たっくんの中のたっくん

IDOL-あゝ無情-のたっくんの中のたっくんのレビュー・感想・評価

IDOL-あゝ無情-(2019年製作の映画)
4.0
アイドルとは芸能とは、何か?
命題を定義できるわけではないけど、何か二律背反のような、パラドックスのような変な矛盾とバランスを含んだ何かが心に残る作品。
是非今話題の水曜日のダウンタウン「MONSTER IDOL」に一喜一憂しCDを買いに走った全ての人に見て欲しい映画です。
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ちなみに私はこの映画で主役の事務所WACKのファンであるが、一人一人のアイドルに寄り添ったレビューではなく映画全体のレビューをあえてしてみた。
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「本気で一生懸命やってるやつを絶対に見捨てない。」「凄く厳しいんだけど、凄く優しいのが芸能界」と渡辺さんが語る冒頭のシーンが印象的でありこの映画を観る上で欠かせないシーンだったと思う。
ただその"一生懸命""本気"は誰が決めるの??
という事に焦点を当てて観ていた。
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事務所やプロデューサーそして視聴者という高次元の立場から彼女たちを観た時、「いやこれは本気じゃなくて、パフォーマンスだな」とか「自分に溺れて一生懸命だと思ってるけどそれはエゴだよ」ってのは意外と見抜かれるもんで…
でも勿論それに納得できない子たちもいて…
その埋まらない溝みたいなのが、常にあるとは思うんだけど、
そこでキラーワード
「お前たちをお金かけて売ってくれるのは、大人たちでしょ?」
が刺さってしまう。
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結果そのシビアな部分と、情熱と青春、を上手く共存させられるバランス感が必要だったのではないかと感じた。
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そしてその終幕に相応しいラストシーンは、
「冷たい気持ちになりながら、胸が熱く震える」
これまた二律背反的な最高のラストシーンなのである。