グラビティボルト

約束の宇宙(そら)のグラビティボルトのレビュー・感想・評価

約束の宇宙(そら)(2019年製作の映画)
3.5
不穏な秀作「ラストボディガード」の作家が撮る母娘の映画。
エヴァ・グリーン演じる母が宇宙飛行士として訓練を積み、やがて娘と離れていく。
振り向くという動作の反復と差異で娘との距離を視覚化する残酷さと不穏な闇を筆頭に、異様な細部が見え隠れしている。

少し会わないうちに娘がエヴァ・グリーンのいない生活に慣れてしまっている寂しさが窓越しの会話シーンの動作で伝わってくるのが端的で良い。

あと、娘が母の訓練を見学するシーン、湖での着水訓練を視てるんだけど浜辺で宇宙服を着た母とその仲間達と娘が接触する場面はロケーションの異界っぽさが効果的で、娘が異星人に接触したような見応えがある。
宇宙博に迷い込むシーンを筆頭に夜や暗闇の黒が忘れ難い。
湖に膝まで浸かって振り向くエヴァ・グリーンのショットも異様。

終盤の「ロケットを見にいく」シーンも白眉だよね。
本当に二人で「見に行った」という事実を残す為だけに全てを棒に振るようなアクションに出るエヴァ・グリーンの内面に謎があるし、
ロケットを二人で見詰めた後すかさず走る勢いも凄い。久しぶりにどうかしてると感じた。