Oto

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームのOtoのレビュー・感想・評価

4.0
やっと追いついてみれた。公開から2ヶ月経ってもまだ満員の劇場ですごい。

エヴァにしてもエンドゲームにしても、予習前提のユニバース作品には功罪があるけど、こういうのを見るとやっぱりみてよかったーって思わせるパワーがあって、世界的なコンテンツの威力を思い知る。

Twitterで何度か集合写真が回ってきたりネタバレを完全に回避することはできなかったけど、ドクターストレンジを含めて「そうきたか!」な小ネタやファンサが沢山あったので満足。

VSストレンジのミラー次元シーンは、『インセプション』をこの10年間の技術でアップデートしたような圧倒的な画力があったし、
なにより敵を倒すのではなく「救う・治療する」というミッションと向き合ったことは、ヒーロー映画をネクストフェーズに連れていくような素晴らしい革命だと思った。

すっかりおじさんになった二人には悲哀もあるけれど、MJをアメイジングが救ったり、オクタビアスとの協力があったり、過去を肯定して次へと進める側面があってよかった。

結末に関しては、コナンもポアロもヒーローも、本人が一番問題を連れてきてしまう立場にあるのは明らかで、大切な人を守るのにあのを大人な決断がベストだとは思うけど…

でもだからこそ「身の程」を弁えずに他者の問題に関わって救おうとする自己犠牲とか無鉄砲で孤独な姿に夢や感動があるというのもスパイダーマンシリーズの重要なメッセージであり醍醐味だと思うから、「大人」になってしまった複雑さもあった。『すばらしき世界』の三上さんに対する哀しみと似ていて、世界の不条理への悲しみでもあるのかもしれない。

好きだったのは、蜘蛛の巣を掃除させるおばさんと、ウィリアムでフォーの狂気的な名演。スパイダーセンス(ムズムズ)をドリーズームで表現するのも緊迫感あって良かった。

宇多丸さんが言っていたけど、Far From Homeの時点ではその先を考えずに「正体がバレる」結末を先に考えてしまったと聞いて驚いた。楳図かずおがご都合主義の展開を避けるためにこの方式をとっていたと聞いたことあるけど、なかなかできないな...。

マルチユニバース展開のためにドクターストレンジを起用するのは納得のアイデアだし、ジョンワッツシリーズならではの軽快なコメディ(多すぎるくらいの雑談)もらしくていいと思ったけど、クライマックスの戦闘が意外にあっさりしているのと、世界が開いてしまって自己犠牲をしなければならないという展開は急に感じた。言っている人多いけど、ピーター以上にストレンジとか周りの大人が不用意すぎるのではないか...。

でも総合して映画史的にも革命的な映画だし、海外の劇場での反応とか見ていても世界中の人をこれだけ白熱させて感動させる体験をいつかは作りたいって思ったりする。リアルタイムで追い続けて初日に見たりしたら本当に凄い走馬灯に浮かぶような体験だったんだろうな。20年の重み。
https://youtu.be/MmIeAw5gYao
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