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スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームのFのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

スパイダーマンという存在が好きです。
突然力を手に入れてしまった少年が、悩みながら成長していく姿が好きです。スパイダーマンはちょっとお調子者で、理系が得意で、正義感があり、そして心根がやさしい、我らが『親愛なる隣人』。
その隣にいてくれる存在感や空気感が好きです。



MCUスパイディは今までのスパイディたちと、少し違うところがたくさんあったし、MCUという大きな波の中にいるということを、とにかく感じられるスパイディだった。そこが好きだし、また少し違和感でもあったのは確か。
このNWHで、トムホスパイディはスパイディとしての通過儀礼を果たした。大切な人の死と、「大いなる力には大いなる責任が伴う」という言葉。そこを越えなければスパイディになれない、とは言いたくないが、スパイディたちはこの運命からはどうしても逃れられないようだ。ボコボコにされて精神的にも打ちのめされるトムホスパイディを見るのは本当に辛かったし悲しかったけど、最後の選択をした彼は確かに『スパイダーマン』だった。
サムライミ版はたぶんまだ見られてないけど、アメスパは見ていたので、MJを助けたアンドリュースパイダーマンのシーンはもうそれだけで嬉しさの涙が溢れて止まらなかった。今度は助けられた。それで彼の心が少しでも救われてくれていたら、こんなに嬉しいことはないし、彼のわだかまりをこうして解決させてくれた脚本、スタッフの方々に御礼を言ってハグしたいくらいだ。
NWHではたくさんの救いがあった。スパイダーマンはいつも孤独だ。でもトムホスパイディにはMJとネッドがいる。この3人が3バカトリオみたいにわいわいと楽しそうにしているシーンが、とにかく愛おしい。トムホスパイディは孤独ではない。そして今回マルチバース化したことによって、サムライミ版、アメスパ共に一人ではないということが、彼ら自身にも知られたことが嬉しかった。この世界のどこかに、自分の他にもスパイダーマンがいて、そいつも頑張ってるんだっていうことが。ヴィランたちへの救いも、私としては嬉しいことだった。意図してヴィラン化したわけではない人々が、また普通の人間として生活できるなんて、なんてアメージングなんだろうか。
私はどのバースでも結構ドックオクが好きだ。彼のキャラデザが気に入っている。それとオットー・オクタヴィアスという名前も好き。サムライミ版、たぶんまだ見たことないのでNWH2回目を見る前には見ておきたい。
全世界のスパイダーマンを愛する人々が、その愛をこめて作り上げた映画のように見えた。これバースの時も言ってるけど。クロスオーバーするということは難しい。メインシリーズのキャラばかりを目立たせてもいけないし、かといって過去シリーズをフィーチャーしすぎても、改変してもいけない。でもNWHはおそらくこれを完璧にこなし、そしてまとめ、次へ繋いだ。しかしトムホスパイディがNo Way Homeのタイトルをずっしりと抱えていかなければならないのは、やはり悲しみを抑えきれない。あれだけ幸せそうで楽しそうで、そして私たちに勇気をくれた新スパイダーマンもこうしてスパイディとしての宿命である孤独を抱えることになってしまった。トムホスパイディにこれから多くの幸がありますよう、祈らずにはいられない。

完璧な『スパイダーマン』映画だった。スパイダーマンというヒーローのことを考えると、今は胸が張り裂けそうだ。
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