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SKIN/スキンのbs3のレビュー・感想・評価

SKIN/スキン(2019年製作の映画)
4.4
白人至上主義者、差別主義者の側からの視点で描いた作品。同時上映の短編「SKIN」が連鎖する白人至上主義者の誕生と悲劇を描いていたのに対し、長編の本作は「転向」する白人至上主義者が受ける暴力と苦悩を描いている。観続けるのが苦しい本作であるが、白人至上主義がなくならない理由が分かる。示された「転向」は差別主義の連鎖を断ち切る一筋の光であるが、その困難さも分かって辛い。
白人至上主義団体を主宰する育ての親に育てられたスキンヘッドで全身タトゥーの青年。青年は差別主義者で、悪行の限りを尽くしていたが、シングルマザーの彼女との出会いにより、団体からの脱退を決意した…
実話をベースにした物語の力強さは心に突き刺さる。
「転向」の過程を、全身に入れていたタトゥーの一年以上をかけた痛みを伴う除去のシーンで描いている。確かにラストシーンのインパクトの強烈さにつながる最も重要なものであるが、更生プログラムのようなものが何も描かれなかったことが気になった。
短編「SKIN」と比較すると、本作は冗長に感じた。物語としては別物であるが、ラストの悲劇と相まって、無駄を削り落とした短編「SKIN」の秀逸さは際立っているが、救いはない。本作が示す救いが希望である。
今、観るべき作品。知ること、考えること、想像すること。
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