金正男暗殺事件を、直接の実行者の二人の女性の裁判を中心に、彼女達の親族や友人、知人の証言や、地元メディアのジャーナリストと米国のメジャーメディアの北京支局長の視点で厚みを持たせ、その真相に迫る作品。裁判の経緯や結末は知らなかっただけに驚愕。他人事ではない、誰もに降りかかりかねないことを知るべき。
2017年2月13日、マレーシア クアラルンプール空港。北朝鮮国籍のパスポートを持つ男が体調を崩し、急死した。パスポートは偽造で、男の正体は金正男。北朝鮮の先の最高指導者 金正日の長男で、現最高指導者 金正恩の兄。死因は毒殺。二人の女によって顔に塗られた液体はVXガスだった。
“いたずら動画”で騙されるものなのか?という疑問も、”いたずら動画”が人気であり、ひとりの女が”いたずら動画”に出演していたことを映像で見せられ、解消した。訓練も、想像以上の回数と期間と様々な場所で行われていたことに驚いた。犯行時の空港の防犯カメラ映像も見ていたが、北朝鮮工作員も映り込んでいたこと、さらには女のスマホ動画に顔を撮られていたことには唖然とした。あまりに杜撰でプロの工作人の仕事とは思えないほど。
ただし、北朝鮮のパスポートを見て、韓国当局に問い合わせたミスがなければ、金正男だったことは判明されなかった可能性があり、遺体が速やかに北朝鮮に送られていれば、闇から闇へと葬られていたかも知れない。
知るべき経緯と結末。観るべし。
