冥王星

オフィシャル・シークレットの冥王星のレビュー・感想・評価

5.0
とても感銘を受けました。

映画としても良く出来ていると思います。
と言って終えば 語弊を生ずるかもしれません。
事実を元にと幾多ある映画と一線を引きたい気持ちです。

2003年1月31日キャサリン・ガンはチェルトナム (コッツウォルズ地方の端に位置する保養地としても有名) のGCHQ(政府通信本部/英国の政府と軍隊にシグナル インテリジェンス (SIGINT) と情報保証 (IA) を提供する責任を負うインテリジェンスおよびセキュリティ組織 実質的には首相直属の独立機関)で北京語の解読・翻訳担当者として働いていた時に、上司からメールを受ける。

それは 米国国家安全保障局(NSA/米国防総省の情報機関)地域ターゲット部門のチーフスタッフであるフランク・コザ氏からのもので
国連安全保障理事会の非常任理事国6カ国(アンゴラ・カメルーン・チリ・ブルガリア・ギニア・パキスタン)の国連事務所及び職員の自宅を盗聴するための秘密作戦への支援を要請していました。
この6カ国は、国連がイラク侵攻を承認するかどうかを決定できる、国連安全保障理事会の 「スイング ネーション(投票に於ける激戦区)」でした。
この計画は、国際外交を規制する外交関係にと関するウィーン条約の第 22 条と第 27 条に違反している可能性があります。

ここからキャサリン・ガン事件が始まります。
それまでのシーンは一般的な生活が描かれていました。夫との仲、職場の同僚・上司。
たとえ最高機密を扱う仕事であっても、ごく普通の勤め人。

これは巻き込まれモノのサスペンスではありません。
何故ならば そこには彼女の意思があったからです。
メールを見た時〜新聞で公表〜自身の申告〜弁護士との打合せそして裁判
と次第に その意思・判断が強くなって行くのが魅せられるのです。

初めてメールを読むシーンでは
ナイトレイのなんだこの内容はとの憤怒の表情の下にメールの文面が流れていきます。

私は字幕を追うので精一杯でしたが
後にこの情報の真偽に関わる重要なシーンなのです。
一つは発信者コザは実在の人物なのか?
もう一つは綴りの問題です。
既にこの時点で米英の合意は取れていました。
しかしアルカイダとの関係も大量破壊兵器の存在の証拠は見つからない。イラク攻撃の根拠は無いのです。
それでも国連決議を得るためこの6カ国の何らかの脅しの材料を探そうとした訳です。
この脅しの手法は後に英国にも跳ね返ってくる重要なキーとなります。
期間は一週間。
ガンは同僚や上司に疑問を呈します。しかし反応は通常の業務としてあしらわれました。

ガンは元同僚の反瀬活動家に相談をします。
「政府を転覆させるつもりはない マスコミの人に見てもらいたいの」
「それは公務秘密法違反よ 言わば反逆罪」

2月3日プリントアウト

直接マスコミには持ち込みませんでした。
ここから新聞紙上で公開されるのに1ヶ月かかります。
その間自分のしたことに不安を感じます。
それと英国に於ける反戦とはが説明されています。

ブッシュ・アメリカ大統領は、3月18日、アメリカとイギリスが国連安全保障理事会の決議を経ることなく、3月20日にもイラクを武力攻撃することを表明した。また、小泉首相は、アメリカなどの武力攻撃を支持することを言明した。

国連憲章により例外的に武力行使が許されるのは限られています。しかし、イラクはアメリカ、イギリス等に対する武力攻撃をしておらず、自衛権の行使はその前提を欠き今回の武力攻撃に同意を与えるものではなく、今回の武力攻撃が、国連憲章に違反することは明らかです。
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