ShinMakita

オフィシャル・シークレットのShinMakitaのレビュー・感想・評価

2.3
2003年1月末…フセイン政権を倒すためアメリカがイラク侵攻の正当性を主張し、国連安保理決議が迫っていた頃。イギリスのシギント諜報機関GCHQ内部職員宛にメールが送信された。送信者はアメリカNSAの幹部職員で、内容は安保理決議に投票するマイナー国代表の盗聴を依頼するものだった。その国々が決議拒否権を行使しないよう、脅迫ネタを探るのが目的だ。とにかく開戦したいアメリカに圧力をかけられているイギリスは、その要請には従わざるを得ない。しかし、GCHQの中国語通訳職員キャサリン・テレサ・ガンは、内心憤っていた。大量破壊兵器の証拠もないのに米英が派兵したら、無駄な命が失われることになる…そこで世論を反戦ムードに向けるため、彼女はこの部外秘メールをマスコミにリークしてしまう。そして2月。GCHQの内務監察が始まり、リーク犯人探しのため職員が尋問を受けることになる。親しい同僚たちがあらぬ疑いをかけられ疲弊する姿に心を痛めたキャサリンは、監察官の前に出頭し自分がメールをリークしたと自白してしまうのだった。逮捕され、留置されてしまうキャサリン。罪状は公職秘密法違反。国の機密を漏らした、いわゆる反逆罪だ…


「オフィシャル・シークレット」。


以下、ネタバレ・シークレット。


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なかなか骨太なポリティカルスリラー。実話ベースの映画です。イラク戦争におけるアメリカのダーティぶりはいくつも映画になってますよね。「グリーンゾーン」や「バイス」なんかを挙げてもいいかな。本作も、イラク戦争開戦前夜モノとしてその内幕がイギリス側から描かれている、という面白さがあります。
さらに、「機密漏洩モノ」という定番サスペンス映画でもあります。俺のフェイバリットである「コードネームはファルコン」、今も上映中の「ジョーンの秘密」に連なる作品。がしかし、これらと違うのは、主人公が自ら逮捕され、法廷で有罪を認めて減刑戦術を取るのではなく驚きの裏ワザに出る、というのがミソ。イラク戦争ネタだったからこそ通用するこの作戦には「なるほど〜」と唸ってしまいました。このオチと、余韻の良さだけでも観る価値があります。アイ・イン・ザ・スカイでポリティカルスリラーをモノにしたギャビン・フッドの手堅い演出が光る一本でした。主演のキーラ・ナイトレイはセクシャルな魅力を封印してもなかなか良かったし、オブザーバー紙の個性的な面々…「ノッティングヒルの恋人」のスパイクことリース・エバンス、品のいい英国紳士役が似合うマシュー・グード、そして最高の存在感を示すレイフ・ファインズと、イギリス男優見本市になっているのも楽しかった。オススメです^_^
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