せんな

水曜日が消えたのせんなのレビュー・感想・評価

水曜日が消えた(2020年製作の映画)
3.8
観終わった瞬間、もう1回観たい!となりました!1回目で見える景色と、2回目以降で見える景色。違うものになるだろう映画です

「月曜日」から「日曜日」。ひとつの身体の中に、7人の人格が同居している。その事実を、部屋から、ひとつひとつの小道具から、本人・そして周りの人の言動から…あらゆるところから感じられることにまず感動でした。情報量が多くて、もっと隅々まで見ていたい

言うまでもなく、7人全員を違和感なく演じ切る中村倫也さんの演技力が物凄いです この人だから成り立った映画だよ…!

7つの人格が全員たくさん出てくるのかな、と思いきや、徹底的に「火曜日」の視点で描かれていました。火曜日にしか生きられない。退屈な毎日の中で突如やってきた水曜日。「火曜日」がいつもと違う出来事にはしゃいでいる姿、他の曜日に面倒事を押し付けられていたのに、自分の欲のために動くようになっていく姿を、中村倫也さんが魅力たっぷりに演じていて、「火曜日」がとても愛おしくなりました。
1週間のうち1日しか生きることができない彼らの苦悩を通して、毎日を生きることの喜びを感じられた気もします

石橋静河さん演じる一ノ瀬さんもよかったです
「7人」全員をよく見ていて、それでも「火曜日」だけに注がれる愛情が見え隠れする視線に切なくなりました

終盤の、「火曜日」の一ノ瀬さんへ向けた独白のシーン、ここを観たときにすべてがひっくり返されて驚きました…!ひとつの身体に7人。7人だけど1人。その特徴を生かしたミステリアスな展開に、とてもワクワクしました

日常の愛おしさ・火曜日の可愛さ、なにより中村倫也の魅力をこれでもか!と楽しめるとともに、何度も映画を見て解釈を深めたい、と思える、味わい深い映画でした…!
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