幻想に振り回されて現実を忘れてしまう。それが恐ろしいことなのはいつの時代も同じだろう。
夢見ることはもちろんいいことだけど、もっと身近な大切なことの方を気にかけるべきだということをしみじみ感じずにはいられない。
京マチ子がこの世のものではないように美しく妖しくて、同性でも目が釘付けになるほどだった。
彼女の美しさだけでなく、画全体も美しい。
例えば川を舟が渡る様子。横からのカメラワークが生きていて、ふんわり纏うような霧が不気味だけど惹き付けられる不思議な魅力がある。
また、茂みを通っていくのと地面を辿っていき場面が切り替わるのは、現実と非現実の境目が曖昧に見せているように感じた。
「お前さんは馬鹿だから自分で不幸せにならないと気が付かなかったんだね」
過ぎてしまったことを憂いても遅いのはわかっているのだけど、気づいた頃にはもう後の祭りなことってよくある。