大傑作!名作の誕生!
富春江近くで暮らす大家族の物語
祖母、四人の息子、その嫁たち、そして孫たち
至極当然のことではあるのだけれど、祖母にも、それぞれ息子と嫁たちにも、孫たちにも、人生があり物語があります
富春江は、その家族一人一人の間を流れる決して埋められない距離としてのメタファーであり、またいつでもそれぞれが帰るべき場所としての富春江でもあり、タイトルの春江水暖とは、人生の辛い時には冷たく凍えるような川でも、春になり陽を浴びて暖かくなった川はまるで家族そのものの暖かさであるとの隠喩であると、私は受け取りました
親子、兄弟、とは言っても、心底からわかり合えない決定的な貴方と私の間の溝
それは時には濁流の様にも荒れ狂い、又、違う時には穏やかでゆったりと流れる富春江そのものではないかと思いました
この映画、ロングショットが非常に多いのですが、言うまでもなく全てのシーンが山水画の様に美しく、且つ必然性のある演出としてのロングショットで、詩的な説得力もあり、本当に素晴らしいと思いました
血縁関係の中にあっても、簡単には飛び越えられそうにもない、大きく広くゆったりと波たゆたう大河
しかし、もし貴方が受け止めてくれる温かいブランケットを用意して待ってくれているのなら、私は渦をもものともせずに、大河を泳いでそちらの岸辺まで泳いでいこう
家族、この世界で一番厄介で面倒臭い他人のようで他人ではない存在、それは愛すべきサークルなのかも知れません