僕はめちゃくちゃ大好きな映画だけど他人には絶対オススメしない
ホアキン・フェニックス in アリ・アスター・ワンダーランド
3時間に及ぶバッドトリップ体験
胸ヤケのような気持ち悪い悪夢の垂れ流し
時に褒め言葉として使われる、ヤバいという表現が、文字通りに、違法薬物など指すのと同義としての、ヤバい!でしかなかった
コメディ要素というか実にくだらない悪趣味なジョークに溢れている
何かを示唆するような映像や台詞があちこちに散りばめられて、さも教訓めいたエピソードやメッセージ性を強く含んだような映像が展開される
が途中で、これって単なるアリ・アスターによる悪意なんじゃないか?アリ・アスターが世界へ憎悪を撒き散らしているだけなんじゃないか?と思った
なので今こうしてこの作品について、思考を巡らせて、あれこれ考察を述べることすら、アリ・アスターにとっては嘲笑の対象なのではないだろうか
この世の全てに意味なんてない
ということを言いたいが為に、こんなにも何かを言いたげな意味深な映画をわざわざ撮って観せているのだとしたらアリ・アスターの底意地の悪さと性格のねじ曲がり具合には感服するしかない
この映画は、観客が敢えて深読みをするような仕掛けがたくさんあるし、それらは簡単に読み解くようなことが出来るものでもなく難解で、しかも映像や編集や音楽もかなりこだわった演出がされていてアート的にも楽しめるので、もしかすると今後カルト的人気を得る作品ともなっているのだけれど、アリ・アスターはそれすらも、お前らこういう雰囲気映画好きだろ?とそうした趣味嗜好にさえ冷や水を浴びせているかのようでもある
これは全編が完璧に台本として書かれた作品なのだろうか?
であるならば、ホアキン・フェニックスはとんでもなく凄い名演だ
途中何度も狼狽え呆然とした表情が、あまりにもリアルなのでホアキンの知らぬアドリブ演出でそうした自然な驚きを引き出しているのかと思うほど
『レクイエム・フォー・ドリーム』『ジェイコブス・ラダー』『マジカル・ガール』辺りを想起させる、何ともクセになる強烈な臭いを放つ珍味的な大傑作