彦次郎

グリプスホルム城の彦次郎のレビュー・感想・評価

グリプスホルム城(2000年製作の映画)
3.0
ドイツのユダヤ系風刺作家クルト・トゥホルスキーの自伝恋愛小説が元になった作品。
ナチスに批判的なため恋人のリディアと一緒にスウェーデンに脱出、支援者貴族の計らいで住居となったのがタイトルのグリプスホルム城というわけです。逃亡者(恋人はそう思ってはいない)とは見えぬようなゆとりと愛の生活は自宅警備員の最上級といえましょう。もっともその生活も不安に支配されておりクルトの苦悩は親友の空軍パイロットやクラブ歌手ビリーが現れることで更に深まっています。きたるべく不穏な時代に対して各々が自分の考えを反芻しながら生き方を選択しているわけでその点では古びていないと思いました。
寄宿学校で虐待をうけるアダという少女を恋人と救った後での終盤は切ないものがあります。
余談になりますが別離の愛情ということで淫靡な訳ではないものの恋人と友人の歌手と3人プレイまでされている辺りは羨ましいという下衆な感情が生じた次第です。
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