むらむら

『ワナジャ』のむらむらのレビュー・感想・評価

『ワナジャ』(2006年製作の映画)
5.0
コロンビア大学現代芸術修士課程の卒業制作で制作された、って聞いて「嘘でしょ!?」としか思えない、クオリティの高いインド映画。

主人公は低カーストのお手伝い・ワナジャちゃん。働きながら、小さい頃に観たインド伝統の踊り・クチプディが忘れられず、懸命に踊りを練習する。

頑張っているワナジャを邪魔するのは、周囲にいる大人(と一部の子供)たち。特に、ワナジャの周りにいる男たち三人のマイナスオーラが凄い。

・借金のカタに娘を売ろうとするアル中の父親
・ワナジャを肉欲のままレイプする雇われ先の地主のバカ息子
・弱みに付け込んで、ワナジャを脅迫する赤いブリーフの男

こいつらに翻弄されるんだけど、ワナジャは「ブラック・スワン」みたいなダークサイドに落ちていくこともなく、健気に前向きに踊る。終盤近くのクチプディの踊り。俺は、この長い手足を存分に使った、美しい舞いのシーンだけで心を打たれました。あと、ワナジャはメチャクチャ純真な子、って訳でもなく、性の目覚めだったりズル賢い部分があるのもポイント高い。

んで、こんな良い作品なんだけど、またもやアマゾンの紹介文(Filmarksでも引用されてる)がウンコ以下。とりあえず原文を紹介すると:

「インドの田舎を舞台に、15歳のヴァナジャはクチプディダンスを学びたいという女将のために働いています。女将の息子との初期の化学は、彼女をカーストとアニムスの戦いに投げ込みました」

うーん、冒頭の「インドの田舎を舞台に」以降、全部間違ってる。

まず主人公の名前も違う。そして、温泉旅館の女将も化学実験のシーンも出てこない。最後の「カーストとアニムスの戦い」に至っては、言葉の響きから想像するような、ワナジャが悪鬼の形相でレイプ魔をビームでなぎ倒す「インモータルズ 神々の戦い」みたいなシーンは確実に存在しなかった。

観てる人少ないけど良い作品なので、六本木ヒルズの多目的トイレみたいに、急に注目されてほしいと思っています。
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