ゾンビ映画の神様ジョージ・A・ロメロが死の間際に、自身が大好きであるこの映画を見ながら旅立ったという。
この映画のラストを観ながら死ねたら、どんなに幸せかと思う。
ラストシーン、ひとりひとり登場人物のアップを映し出されるが、この時の表情が皆それぞれいい。見終わってこれほど多幸感のある映画もそうそうない。
アイルランド移民でアメリカでボクサーとして活躍した男ジョン・ウェインがある出来事を契機に、故郷のアイルランドに帰ってくるシーンで映画は幕が開ける。
何ともこの村の人々が呑気でほのぼのする。
やがてウェインは、村の大立て者ヴィクター・マクラグレンの妹であるモーリン・オハラに一目惚れする。
このオハラのキャラクターが強烈で、まさに鉄火のような性格の彼女は最初はウェインと反発するが、やがて彼女もウェインにひかれていく。
生まれ故郷は同じでも、アメリカとアイルランドの片田舎と別々の環境で育ち、価値観も異なるふたりが、いかに衝突を乗り越えて、答えを出すのか…これが本作の一番の見所。
あたしは、2014年のデジタルリマスター上映に間に合えてホントに幸せだったね。