Yuki

子供はわかってあげないのYukiのネタバレレビュー・内容・結末

子供はわかってあげない(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

まず、最初AMUSEのロゴでてからすぐアニメが始まったのでなんの話かと思った(笑)
いきなり実写じゃないので観てる映画合ってるかな?ってちょっと不安になるけどそこで一気に引き込まれる。
そこから、そのアニメを観てる美波ちゃんが写って、お父さんが写って、母や弟が写る。
この家の様子の長回しがめちゃくちゃ良くて、本当に長かったんだけど、向かって上手手前側では美波と父がアニメを観ながら泣き、エンディングソングで踊り、母と弟は下手奥で酢飯を作ったり、弟はバタバタしたり…そのあと美波と弟が走り回ってる風景があったり、最後は上手側にルンバがシュールにこちら側に向かってきて…
ビミョーに固定カメラを横にパンして中心をずらして、最終的にまた元の場所に近いところに戻ってきてってカメラワークの意図がめちゃくちゃ気になったけど、ほんとに良いシーンだった🥲
のちのち、本当のお父さんの家でも弟と美波のようにお父さんと美波が走り回っていたのが『家族』であることを描写してるようでグッときた。

こう、同じことが同時並行的に起こっているシーンが他にもいっぱいあって、(たとえば門司くんが電話してる奥で子供たちが習字教室してたり)特徴的だった。こういう撮り方してると、日常と同じ状況を映画のなかでも作って見せたいのかな、と。自然にみえる。でも映画の中の画として見ると意外と同時並行でたくさんのことが起こってるな、とカオスにみえる。
私たちの日常って常に、俯瞰してみるとカオスなんだなって気づいた(笑)

最初に美波が最初にプールで泳ぐシーンのカットも美波の主観的なカットとプールのなかから撮ってるカット、プールの外から撮ってるカットを組み合わせてて、それがとても画的に面白かったしワクワクした。
門司くんと美波が出会うシーンもとてもステキだし、その後の階段を降りる長回しもステキ。

あと、登場人物とにかくみんな愛おしい。真剣な時に笑ってしまう美波。娘と一緒にアニメを観て泣く父。OK牧場の母。天真爛漫な弟。優しい門司くん。クセの強い、水泳部顧問の「な」先生。情に熱い門司くんのお兄ちゃん。でくのぼうっぽいけどどこかキュートな本当の父…。みんな愛らしくてキュートだから嫌な気持ちにならずにずっと観れた。

映画全体を通して間がめちゃくちゃ絶妙で、編集で作っている間と役者さんのお芝居の間がどちらもほんとに素晴らしい。
その間でクスッとしてしまうところがたくさんあるし、ちょっとした人間の天然な間違いみたいなシーンも入れ込まれていてそれがまた愛おしさを増幅させるというか。

あと後半の門司くんが海に作田美波って書いたときの上からの画がとてつもなく美しかった…!

最後はまた学校に戻って、プールから見える屋上のシーンがあって、ふたりのシーンがあって…って冒頭の出会いを繰り返すようにして終わり方もキレイで収まりが良く、めちゃくちゃ気持ちよかった。

夏にピッタリの、夏を満喫できて青春と家族愛を同時に感じられる、とてもステキな映画でした!
さすがの沖田監督ワールドでした!
Yuki

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