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選ばなかったみちのmichikoのレビュー・感想・評価

選ばなかったみち(2020年製作の映画)
3.0
認知症の元小説家の父とその介護をする娘のある24時間を描く。ヘルパーの存在無くては日常生活もできず、心ここにあらずの父。そんな父を理解しようと努める娘だが、父には違う世界が見えていた。故郷のメキシコでの思い出、そして執筆活動の為家族を捨てて旅したギリシャ。現代と過去を生きる彼は何を想うのか。

同じく認知症を扱う作品としては『ファーザー』を、そして“選ばなかったみち”というテーマを描く作品としては『ザ・ディスカバリー』が思い出される。『ファーザー』は認知症の恐怖を描く、ある種ホラーでもあった。『ザ・ディスカバリー』はSFと死後の世界の宗教観が混じり、これまた捉え方によってはホラーと言えるかもしれない。それと比べ本作では救いがあったかもしれない。“選ばなかったみち”を本人がどう捉えるか次第である。
だがしかし、そのみちは今後も無数にあり、そして人が人と交わる以上、他者の選択もまた自分のみちとなる。人生が選択で成り立つ以上、その評価は常に発生する。それは何年後になるか分からないし、また誰が行うかも分からない。その認知を、我々は本作で改めて可能となるだろう。
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