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ナショナル・シアター・ライヴ 2020 「真夏の夜の夢」のlololoのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

とにかくすごい。こんなシェイクスピアがあるのかと。目も心も奪われる乱痴気騒ぎ。私たちも、観客席の1人のように、夜の森の木々となって人間と妖精の大騒ぎを眺めているような気分になった。
シェイクスピアのセリフの美しさを表現するような、夜の森の月明かりや意味ありげなベッド、キラキラ光る妖精たち…。美しいだけじゃないけど、夜の森の香りまで伝わってくるような幻想的な世界。

よく考えたら結構重たい要素を含むお話なんだけど、それを吹き飛ばすはちゃめちゃな展開で、ちっとも飽きなかった。何がどう関係するの?と思った演劇チームも、森の中で1人がロバになったりしつつ、最後は結婚式でとんでもなく面白い演劇を見せてくれて大笑いしてしまった。

観客巻き込み型の演出も、「ジュリアス・シーザー」で見た時とはまた違った感じで新鮮。ジュリアス〜は観客を人として見立て、本作は木々に見立てたというのが面白い。(2幕でみんなお花かぶってたのかわいかった)

キャラクターの中では、デイヴィッド・ムーアスト演じるパックの「人ならざるもの」感がすごい。見た目は確かに人間の青年なんだけど、足の先から頭のてっぺんまで意識された動きで、まるでゴブリンみたいな生き物のよう。妖精たちの中で、彼だけ空中ブランコの経験がなかったそうだけど、彼が一番アクロバティックなように見えた。
(彼のことはNTLiveの「アレルヤ!」で知ったけど、こんなに動ける人だとは思わなかった)

あと、個人的には「ジュリアス・シーザー」ぶりに見たキット・ヤングがえらいカッコよくて好きになった。冒頭のスーツ姿、駆け落ち中の革ジャン姿からの上半身裸、そして花婿のスーツ…。スタイルの良さよ。そして目力が凄い人だと思った。目で語る俳優さん。
あの若者4人のはちゃめちゃな喧嘩、面白かったな。ヘレナの吹っ切れ感がよかった。演じるテッサ・ボーナム・ジョーンズの体当たり演技に魅了された。

なんやかんや、みんな幸せに暮らしましたとさ!で終わるシェイクスピアって初めて見たかもしれない。楽しかった。
「これがお気に召さなかったなら、全部夢だったということにして」という終わり方も好き。
あと、ビヨンセの曲の存在感よ。
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