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落下の解剖学のlololoのネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

フランスの司法映画と言えば私の中で『私は確信する』が一番参考になった作品で、今回『落下の解剖学』は『私は〜』で得た気づきを思い出しながら鑑賞した。
「法律は誰かと友達になったら不平等になっちゃうから誰とも友達にはならない」って言葉が静かに深い。

映画が終わってから周りの人たちが「結局誰が殺したの?」とか「真相は?」って言ってて、私も司法映画と推理映画の違いを意識出来てなかったらそう思っただろうなと。
フランスの裁判所で(と言うか裁判所と言う場所で)明らかにされるのは、犯人や動機や夫婦の下世話な裏事情ではなく“被疑者は有罪か否か”ということだけ。
だから、主人公のザンドラが無罪と決まった時点でこの映画の結論は出てる。

作家として成功した妻が作家として成功したい夫に「今のあなたと話し合いをしてる時間は無駄、この時間で書けば?」といい放つ喧嘩の場面は残酷だったなぁ。でも、男女入れ替えたらみんな、妻は夫に従うのが当たり前だもんなって納得するんでしょう…?という皮肉を感じたりもした。

主演のザンドラ・ヒュラー、これまで私は彼女が出てくる作品を『希望の灯り』、『アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド』と見てきたけど、本当に印象深い人でさらに好きになった。悲しみと笑いを同時に表現した車の中での「お金は悲しみし生み出さないけど、泣くのは地下鉄より車の中がいい」のジョークの場面とか素晴らしかった。

弁護士役のスワン・アルローはこの映画で初めて認識したけど、日本の俳優さん何人かを思い出す顔の造形でイケメン…となった。
ザンドラと弁護士の、くっつきそうでくっつかない雰囲気がハラハラしつつ、それで良かったんだなと思った(無罪決まってから、レストランで少し抱擁?してキスするかと思いきやしない場面で終わり、以降のやり取りが描かれてなかったのもなんだかさっぱりしててよかった)。
弁護士側はザンドラに初めて会った時のことを覚えてるし、ザンドラに惚れたって言ってるのに彼女が話振っておきながらなんも覚えてなかったのもなんかリアルな人間だった。再会した時のハグがぎこちなかったのも含め。
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