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Firebird ファイアバードのlololoのネタバレレビュー・内容・結末

Firebird ファイアバード(2021年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

ソ連占領下のエストニアが舞台、しかもセルゲイのモデルになった人の回顧録が元になった作品というのがユニーク。

ストーリーは割と王道な男性同士の悲恋もので、「二人が恋に落ちて少しだけ幸せな時間を過ごして、最終的に片方が結婚するけど再び少しだけ幸せな時間を過ごして、そして最後はどっちかが死ぬ」っていう…。

王道なはずなのに、トム・プライヤーasセルゲイの若々しさやオレグ・ザゴロドニーasローマンの色気、二人の緊張感も優しさもある愛の行方に目が離せなかった。あんなに艶っぽい写真現像シーンある…?
あの時のセルゲイの「写真には…永遠に消えてしまう一瞬が残ります 二度とない瞬間がまるで幽霊のように」って台詞、セルゲイの感性の高さにスクリーン越しの私まで惚れ惚れしてしまった。そして現代では味わえない贅沢な感覚だなと思った。

法律と同性愛の映画と言えば「大いなる自由」で、そちらはドイツこちらはエストニア(ロシアの刑法下)。他にもイタリアが舞台の「蟻の王」があった。(こちらは別の法律を無理やり当てはめて同性愛者を裁判で訴えてた。)
人間が愛する相手を法律で縛るってほんと意味わかんないなと思うけど、そういう流れが主流な時代があったというのが恐ろしい。日本でも同性の結婚は男女の結婚と完全にイコールではないし。
エンドロールで「(男性の同性愛を禁止する)刑法121条は1933年に無効となった」からの「2013年ロシアは新法同性愛宣伝禁止法を制定した」の絶望感やばかった。

それにしても、エンドロール明け、なんであのズベレフ少佐が車の中で煙草つけてる映像あったんだろう…?(劇場の前だったらしい。)
あの人の存在が緊張感や目が離せないハラハラに繋がったけど、無能なような有能なようなよくわかんない感じだったな。

トム・プライヤー、『新米刑事モース〜オックスフォード事件簿』のショーン・エヴァンスに似てるな〜と思ったら、RADAの卒業生で『新米〜』にも出演してたとか。なるほど…。
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